モンシロチョウの育て方は?卵から成虫までの流れと失敗しにくい飼育のコツ
2026.04.16
春になると、畑や花壇でひらひらと舞う姿を見かけるモンシロチョウ。身近な場所で成長のようすを観察しやすいため、自分でも育ててみたいと感じる人もいるでしょう。ただし、上手に育てるためには、飼育環境のつくり方やエサの知識など、知っておきたいことがいくつかあります。
そこで本記事では、初めての方でも失敗せずに羽化まで見守れるよう、モンシロチョウの育て方の基本を解説します。元気な幼虫を育てるためのポイントから、知っておきたいトラブルへの対処法まで、観察を成功させるためのヒントをまとめました。
モンシロチョウの基本情報

まずは、モンシロチョウがどんな昆虫なのかを知っておくと、飼育や観察のポイントがつかみやすくなります。
モンシロチョウは、日本各地の畑や花壇、道ばたなど、日当たりのよい開けた場所でよく見られるチョウです。幼虫はキャベツやハクサイなどアブラナ科の植物を食べ、成虫になると花の蜜を吸って暮らします。暖かい地域では年に何度も世代交代をくり返し、さなぎで冬を越すこともあります。
モンシロチョウの基本情報は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | チョウ目シロチョウ科 |
| 活動時期 | おおむね3月〜11月ごろ |
| 生息地域 | 日本全国 |
| 特徴 | 成虫は白い翅(はね)に黒い模様がある 幼虫は緑色でいわゆるアオムシ |
| 主な天敵 | 鳥類、カマキリ、アシナガバチ、寄生バチなど |
モンシロチョウはどう育つ?卵から成虫までの流れ

モンシロチョウは、卵、幼虫、さなぎ、成虫と4つの段階を通じて成長する「完全変態」の昆虫です。気温や季節によって日数は変わりますが、暖かい時期なら卵から羽化まで3〜4週間ほどで進むことが多く、変化を短い期間で観察することができます。
卵は葉の裏に1個ずつ産みつけられることが多く、産みたては白っぽく、次第に黄色みが出てきます。
卵からかえった幼虫は、すぐ近くの葉を食べながら大きくなります。成長の途中で何度か脱皮をくり返し、十分に育つと、さなぎになる場所を探して歩き回るようになります。
その後、体を固定してさなぎになり、中で成虫の体ができあがると羽化します。
モンシロチョウの幼虫を育てる前に知っておきたい準備

モンシロチョウを育て始める前に、まずは必要なものをそろえておきましょう。あわせて、卵や幼虫をどこで見つけるか、持ち帰るときに気をつけることは何かを確認しておくと、その後の飼育を始めやすくなります。
飼育環境を整える上で欠かせない基本的な道具と、それぞれの役割をまとめました。
| 項目 | 主な役割 |
|---|---|
| 飼育ケース | 幼虫を入れ、脱走を防ぐ |
| アブラナ科の葉 | 幼虫のエサ |
| 小びん | 葉を長持ちさせる |
| ピンセット | 幼虫を移動させる 古い葉を取り出す |
| 筆やハケ | ふんを掃除する |
飼育ケースやエサの葉は、幼虫が元気に育つ環境を整えるために欠かせません。これらの準備について詳しく見ていきましょう。
飼育ケースとエサの準備
飼育ケースは、逃げにくく、風通しのよいものが必要です。虫かごにする場合はすき間の細かいものを選びましょう。プラスチックケースを使う場合は、ふたを閉めきって蒸れやすい状態になると、幼虫が弱る原因になります。水切りネットなどを活用して、空気が通る状態を作ってあげましょう。
幼虫のエサになるのは、キャベツやブロッコリー、ハクサイ、小松菜などのアブラナ科の葉です。採集した卵や幼虫がついていた植物と同じ種類の葉を用意すると、食べ始めやすくなります。
エサの葉の置き方には、切った葉をそのまま置く方法と、水を少量入れた小びんや小さめのペットボトルに挿す方法があります。
そのまま置くときは乾きやすいので、ケースの底に水に少しぬらしたキッチンペーパーを敷いてから置くと、葉の乾燥を少し遅らせることができます。
びん挿しは長持ちしやすい反面、幼虫がびんの水に落ちないよう口をふさぐ工夫が必要です。どちらの方法でも、葉がしおれていないかをこまめに確認しましょう。
卵や幼虫を見つけやすい場所
育て始める準備ができたら、卵や幼虫を探しに行きましょう。見つけやすいのは、畑や菜園にあるキャベツやハクサイなど、アブラナ科の植物の「葉の裏側」です。葉にかじったあとがあれば、幼虫が近くにいる可能性があります。
ただし、これらの植物がある場所でも、入って探してもよいかどうかを先に確かめることが大切です。個人の畑や公共の場所では、あらかじめ許可を取ったり、ルールを確認したりするとよいでしょう。
また、適切な場所に心当たりがない場合は、ベランダや庭にプランターを置き、自分でアブラナ科の植物を育てる方法もあります。環境が合えば、モンシロチョウがやって来て葉に卵を産むことがあります。
持ち帰るときの注意点
卵や幼虫を持ち帰るときは、できるだけ葉ごと採集して運ぶのがおすすめです。卵を無理にはがしたり、幼虫を強くつまんだりすると傷つけてしまうことがあるためです。
アブラナ科には、ほかにも「コナガ」という別の幼虫もよく付着しています。モンシロチョウの幼虫はやや太めで、ゆったり動く傾向がありますが、コナガは比較的小さく、すばやく動く傾向があります。よく観察して見分け、モンシロチョウの幼虫を選ぶようにしましょう。
観察目的でも一度にたくさん採りすぎないことが大切です。お世話できる数だけ持ち帰ることで、エサの交換や掃除がしやすくなり、幼虫にとっても過ごしやすい環境を保ちやすくなります。
持ち帰る途中は、卵や幼虫に負担をかけないよう、直射日光を当てないようにして、密閉せず短時間で持ち帰りましょう。早めに飼育ケースへ移して、環境を整えてあげると安心です。
【卵から羽化まで】モンシロチョウの育て方

ここからは、卵から羽化までの流れに沿って、お世話のしかたを順番に見ていきます。成長段階ごとに気をつけたい点は違うため、その時期ごとのポイントを知っておきましょう。
卵の管理方法
卵は、できるだけ葉につけたままにします。小さくて傷つきやすいため、むやみにさわらず、置き場所を安定させることが大切です。
卵がふ化するまでの期間は、気温によって変わります。温度が高い方が早くなるとされていますが、適温は15℃~25℃くらいといわれるため、暑くなりすぎないようにすることが大切です。直射日光が当たる場所は避け、葉がしおれない程度に湿度を保ちましょう。
ふ化が近づくと先の方が透けて見える場合があります。小さな変化を毎日観察しながら、ふ化を待ちましょう。
幼虫の育て方
幼虫の飼育で大切なのは、以下の3つのポイントです。
- 適温を保ち、風通しをよくすること
- エサの新鮮さ
- ケース内の清潔さ
直射日光を避けて適温を保ち、ケースは密閉せず、空気がよく通るところに置きましょう。新鮮な葉が常にある状態を維持し、フンや食べ残しを毎日掃除することが大切です。
幼虫は脱皮を数回くり返しながら、次第に大きく成長していきます。また、脱皮の前後は動きが鈍くなったり、食べる量が減ったりすることがあります。この時期に無理にさわると負担になるため、そっと見守りましょう。
さなぎになる前後の様子
十分に育った幼虫は、葉を食べるよりもケースの壁やふたの近くを歩き回るようになります。これは、さなぎになる場所を探す「ワンダリング」のサインです。
歩き回ったあと、体を固定して動かなくなると、しばらくしてさなぎへ変化します。この時期はとてもデリケートなので、さわらずにそのままにしておきます。
どうしても動かす必要があるときは、やわらかい時期を避け、殻が固まるまで3日ほど待ちましょう。
なお、季節によっては、さなぎのまま冬を越すこともあります。羽化がなかなか始まらず不安なときでも、秋以降であれば不思議ではありません。
羽化前から成虫になるまで
モンシロチョウはさなぎから羽化するときに、つかまる場所が必要です。プラスチックケースの壁など、つるつるとした滑りやすい場所でさなぎになっているときは、さなぎの近くに割り箸を立てかけたり、水切りネットをたらしておくなどして、あらかじめ足場を用意しておくと安心です。
さなぎになってから1週間から10日ほど経ち、中の翅の模様が透けて見えてきたら、羽化が近いサインです。羽化は朝早くに行われることが多いです。
羽化したばかりの成虫は、高いところにつかまって体勢を整え、体液を送り込んで少しずつ翅を伸ばしていきます。このときはまだ翅がしっかりしていないので、翅が伸びた状態で乾くまでは、さわらずに見守りましょう。
羽化不全がなく順調なら、数時間ほどで飛べる状態になることが多いです。エサとしては、10%ほどの砂糖水を脱脂綿に含ませて与える方法がありますが、こぼれて体がぬれないように注意が必要です。
飛べるようになったあとは移動できる距離が大きく増えます。ケースから出し、外へ放してあげるとよいでしょう。
モンシロチョウの飼育で気をつけたいこと

モンシロチョウは比較的育てやすい昆虫ですが、なかにはうまく羽化まで育たないこともあります。羽化を成功させるには、飼育環境で防げるトラブルを減らすことが大切です。自然界の摂理で避けられない事態もありますが、まずは基本の原因と対策を確認しておきましょう。
エサ選びの注意点
キャベツやハクサイ、小松菜は幼虫のエサになりますが、市販の野菜にはわずかな農薬の影響があり、人間には無害でも幼虫を弱らせてしまうことがあります。必ず問題になるとは限りませんが、できるだけ安全性に配慮した葉を用意したいところです。
安全なエサを確保する方法には、次のような方法があります。
- 外側の葉は取り除く
- 無農薬の野菜を選ぶ
- 自宅でアブラナ科の野菜を育てる
こうしたやり方のなかから、無理なく続けられるものを選ぶとよいでしょう。
寄生バチが出ることもある
野外で採集した幼虫を育てていると、体内から、寄生していた「アオムシコマユバチ」という小さなハチが出てくることがあります。アオムシコマユバチはモンシロチョウの幼虫に産卵する寄生バチとして知られています。
これはお世話のしかたに問題があったというより、採集した時点で、すでに寄生されていた可能性があります。大切に育てたのに羽化を見られないのは残念なことですが、これも自然界のリアルな営みのひとつといえます。
羽化までしっかり観察したい場合は、すでに寄生されているリスクがある幼虫を採取して育てるより、卵から育て始めるほうが安心です。
観察するとわかるモンシロチョウの変化

モンシロチョウの飼育は、日々姿を変えていく様子を間近に観察できるのが醍醐味です。成長に伴う見た目の変化に注目して、飼育をより深く楽しみましょう。
幼虫の見た目の変化
幼虫は、ふ化直後は体長2mmほどで、透き通ったオレンジ色をしています。卵が張り付いていた葉を食べることで、少しずつ緑色になっていきます。
それから2~3日ごとに脱皮を繰り返し、大きくなっていきます。脱皮のたびに体の毛が増え、緑色が濃くなっていきますが、模様自体に大きな変化はありません。
3cmほどにまで成長し、4回目の脱皮を終えたら、いよいよさなぎの段階です。
さなぎの色の違い
モンシロチョウのさなぎは、すべて同じ色になるとは限りません。同じモンシロチョウのはずなのに、緑色のさなぎになることもあれば、茶色に近いさなぎになることもあります。
実はさなぎの色は、置かれた場所の色に合わせて変化します。これは天敵からの攻撃を避けるための「保護色」といわれていますが、近年の研究では、温度なども影響することがわかっています。
観察するときは、どこでさなぎになったか、周囲の色や気温がどうだったかも、あわせて記録してみると面白いかもしれません。
オスとメスの見分け方
成虫のオスとメスはよく似ていますが、見比べると模様の出方に違いが感じられることがあります。一般には、メスのほうが黒い模様がややはっきり見え、オスは全体に白い部分が多く見えることがあります。
ただし、個体差もあるため、見た目だけでは判断しにくいこともあります。
人の目では違いがわからなくても、モンシロチョウ同士は翅が反射する紫外線の違いなどを手がかりに、オスとメスを見分けていると考えられています。
まとめ:モンシロチョウを育てて成長を見守ろう

モンシロチョウの飼育は、特別な道具を必要としないため、初めて昆虫を育てる人にも取り組みやすい体験です。短い期間の中でも姿が次々に変わっていく様子は、日々のお世話の積み重ねを感じる喜びにつながります。
まずは本記事を参考に環境を整えて、観察を始めてみてはいかがでしょうか。羽化まで育てた成虫を自然へ放す経験は、生きものの営みをより身近に、そして大切に感じるきっかけになるはずです。
また、このようなモンシロチョウをはじめとする生き物への関心は、「好き」を学びにつなげる第一歩です。
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