猫が吐く原因は?危険な症状と受診の目安、家庭での対処法【獣医師監修】
2026.08.31
- 目次
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- 猫が吐いたときの受診の目安
- 早急に受診したい症状
- 短時間様子を見ることができる目安
- 吐しゃ物の状態からわかること
- 透明な液体・白い泡
- 未消化のフード
- 毛玉
- 黄色・緑色の液体
- ピンク・赤・黒っぽい吐しゃ物
- 猫の嘔吐に関わる主な要因
- 猫に嘔吐が見られる背景
- 嘔吐と吐出の違い
- 嘔吐の原因となることがある病気・要因
- 猫が吐いた後に飼い主ができること
- 吐いた直後の対応と注意点
- 吐いた後の食事と水分の与え方
- 動物病院を受診する前に確認すること
- 獣医師に伝えたい観察ポイント
- 症状を動画で記録する方法
- 吐しゃ物の保存方法
- 受診時に役立つ「5項目のチェックリスト」
- 猫の嘔吐を防ぐための日常的なケア
- 食べ方や食事内容の工夫
- ブラッシングによる毛玉対策
- 誤飲・誤食を防ぐ室内環境づくり
- まとめ|愛猫が吐いたときは焦らず「観察」と「正しいケア」を
- 監修者情報
愛猫が突然吐くと、一時的な体調不良なのか、それとも受診を急ぐ状態なのか判断がつかず、心配になる方も多いかと思います。いざという場合にあわてないためには、吐いたときにはどう考え、どう対応をするのか、あらかじめ知っておくと安心です。
本記事では、受診の目安、吐しゃ物(としゃぶつ)や吐き方の観察ポイント、吐いた後の対応、嘔吐を予防するため日常的にできる工夫について、わかりやすく解説します。
猫が吐いたときの受診の目安
猫の嘔吐には、一時的なものから病気・誤飲によるものまで、さまざまな原因が考えられます。年齢や体質、持病があるかどうかなども影響します。
以下の項目は、家庭で愛猫の状態を確認するための目安です。緊急性の高い症状の場合と、自宅で少し様子を見ていられる場合とに分けて紹介します。
※あくまでも目安であり、病気の有無や重症度を診断する基準ではありません。
早急に受診したい症状
次のような症状や様子が見られる場合は、早急に動物病院へ連絡してください。
- 短時間に何度も吐く・激しく吐く
- 吐こうとしているのに何も出ない状態を繰り返す
- ぐったりしている・反応が鈍い・熱がある・食欲がない
- 下痢・ふらつき・呼吸の異常がある
- お腹を触られるのを嫌がるなど、痛みを疑う様子がある
- 吐しゃ物に血液・異物・ひも・虫などが混ざっている
- おもちゃ・ひも・植物・人間用の薬などを口にした可能性がある
- 尿が極端に少ない・口の中が乾いている
- 子猫・高齢の猫・持病のある猫が繰り返し吐いている
特に、誤飲・誤食や中毒の可能性があるときは、症状が軽く見えたとしても動物病院へ相談してください。
短時間様子を見ることができる目安
以下の条件が全てそろっている場合のみ、少し自宅で様子を見ていられる可能性があります。
- 吐いたのが1回のみ
- 吐いた後でも落ち着いている
- 普段と同じように動いている
- 食欲や飲水量に大きな変化がない
- 尿や便に異常がない
- 誤飲・誤食の可能性がない
- 吐しゃ物に血液や異物が混ざっていない
吐しゃ物の状態からわかること
吐しゃ物の色や内容物は、猫が吐いた原因を考える手がかりのひとつです。それだけでは病名や緊急度はわかりませんが、吐いた回数やタイミング、吐き方や全身の状態などと合わせて、獣医師が判断するときの材料になります。
透明な液体・白い泡
吐いたものが透明な液体の場合、水や唾液、胃液が混ざっていることがあります。白い泡は、唾液や胃液が泡立ってそう見えていることがあります。空腹の場合や、一時的に吐き気が起きたときにも見られる状態です。
透明な液体や白い泡を何度も吐く場合は、胃や腸に不調がある可能性があります。
未消化のフード
食べたフードがそのままの形で出てきたり、あるいはほとんど消化されずに出てきたりした場合は、早食いや、一度に多く食べたことが関係している場合があります。胃や腸からの嘔吐ではなく、食道から食べ物を戻した「吐出(としゅつ)」という場合も考えられます。
この場合確認しておきたいのは、食後どのくらいで起きたか、吐くときに腹部が大きく動いたか、フードが筒状になっていたか、何度も繰り返していないかという点です。特に何度も繰り返す場合は、食道や胃の異常という可能性があります。
毛玉
猫は毛づくろいで飲み込んだ被毛を、円柱の形やかたまりになっている毛玉として吐くことがあります。特に長毛種や換毛期の猫は、毛を飲み込む量が増えやすく、毛玉を吐くことにつながりやすいといえます。
毛玉を頻繁に吐く、吐こうとしているのに何も出てこない、食欲が落ちる、便が出にくいといった様子がある場合は、飲み込んだ毛が胃や腸にたまっている可能性があります。
黄色・緑色の液体
吐しゃ物が黄色や黄緑色の場合は、胆汁や消化液が混ざっていることがあります。胃の中が空の状態で吐いたときに、この色になりやすいといえます。
ピンク・赤・黒っぽい吐しゃ物
ピンク色や赤色の吐しゃ物には、血液が混ざっている可能性があります。また、茶色や黒色の場合も、消化された血液が混ざることで、そのような色に見える場合があります。ただし、フードや口にしたものの影響で、こうした色合いに見えることもあります。
これらの色の場合は、吐しゃ物の全体と色がわかる写真を撮っておきましょう。
猫の嘔吐に関わる主な要因
ここでは、猫が嘔吐する背景や、嘔吐と吐出の違い、嘔吐につながる可能性のある病気や要因などについて見ていきます。
猫に嘔吐が見られる背景
猫は毛づくろいの際に被毛を飲み込みます。被毛は消化されないので便として出てきますが、胃や食道にたまった被毛が、毛玉として吐き出されることがあります。
早食いや急な大食いをした場合は、胃腸への刺激から吐くことがあります。別のフードへ急に切り替えた後や、引っ越しなどで生活環境が変わった場合にストレスで嘔吐が起きることもあります。
こうした心当たりがないのに、嘔吐が続く、繰り返すなどの場合は、異物の誤飲などを含めて病気が隠れている可能性があります。
嘔吐と吐出の違い
嘔吐と吐出では、そのときの様子や内容物が出てくる場所が異なります。具体的には以下のような違いがあります。
| 嘔吐(おうと) | 吐出(としゅつ) | |
|---|---|---|
| 出てくる場所 | 胃や小腸 | 食道 |
| 腹部の動き | 大きく動くことが多い | あまり動かないことが多い |
| 出す前の様子 | よだれが出る、えずくことがある | 前ぶれが目立たないことが多い |
| 吐いたもの | 消化物や液体 | 未消化のフードが出てくることがある |
家庭ではこれらの区別が難しいこともあります。吐いたときの猫の様子を動画に撮っておくと、獣医師が判断しやすくなる可能性があります。
嘔吐の原因となることがある病気・要因
猫が吐く原因となる病気や要因は、多岐にわたっています。すでにふれたストレスや生活環境の変化などに加え、誤飲や中毒もこうした要因のひとつです。
病気としては胃腸の炎症、毛球症、腎臓・肝臓・膵臓の不調などが嘔吐につながることもあります。この場合の嘔吐は、何かの病気にかかった結果、症状のひとつとして起きていますが、どのような病気なのかは実際に獣医師の診断を受けないとわかりません。
獣医師は猫の状態を確認し、必要に応じて血液検査、X線検査、超音波検査などを実施し、病気の診断を行います。
猫が吐いた後に飼い主ができること
猫が吐いた後に、飼い主はどのように行動したらよいのでしょうか。ここでは、やっておきたい対応やケアを紹介します。
吐いた直後の対応と注意点
猫が吐いた直後は、静かで落ち着ける場所に移して休ませます。リラックスできる状態をつくり、熱はないか、呼吸や歩き方に異常はないか、さらに吐かないかなどを観察します。
口や肛門からひも状のものが見えているときは、引っ張らないようにしてください。ひもが胃や腸に引っかかっていると、引っ張ることで内臓を傷つける危険があるためです。この場合は動物病院を受診して、適切な処置をしてもらいましょう。
吐いた後の食事と水分の与え方
猫が吐いた直後は、胃腸を落ち着かせるため、数時間は食事を取らせないようにします。吐いた直後は水を飲んだだけでも吐いてしまうことが多いため、水分も控えて2~3時間は様子を見ます。
その後、吐かずに落ち着いている場合は少量の水を与えます。水を飲んでも吐く様子がなく、普段と変わりないようであれば、食べ慣れているフードか、消化に優しいウエットフードを少し与えて経過を見ます。急に普段の量を食べさせず、数回に分けて慎重に与えるようにします。
子猫、高齢の猫、肥満傾向や持病のある猫の場合、絶食させると体調が悪化する場合があります。また元気な猫であっても、24時間以上絶食状態が続くと、肝臓に悪影響が出ることがあります。
動物病院を受診する前に確認すること
動物病院を受診するときは、猫がいつ、どのように吐いたかに加え、さまざまな項目について問診を受けることになります。あわてず答えられるように、整理しておきたいポイントをまとめました。
獣医師に伝えたい観察ポイント
まず必要になるのは、嘔吐の「発生状況」です。いつから吐いているか、また吐いた回数やきっかけがわかるようなら、メモしておきます。
そして、「吐しゃ物」の色や量、においや混じっていたものについても、できる限り記録しておきます。
他には、猫の「他の症状や状態」を確認しておきます。熱はないか、元気はあるか、食事や水は摂れているか、尿や便に異常はないかを把握しておくと役に立つ可能性があります。
誤飲や誤食の可能性はないか、最近フードやおやつを変更したかなど、細かい情報が診断につながる可能性もあるため、「生活環境」についても整理しておきます。
症状を動画で記録する方法
症状を動画に記録しておくことで、動物病院の受診時に診断材料として見てもらうことができます。短時間の撮影でも獣医師にとっては貴重な情報になる可能性があるので、可能な限り用意しましょう。
動画を撮るときは、猫の全身と姿勢、腹部の動き、猫の呼吸音や、吐く前の動作や吐いているときの音、吐いた後の様子まで画面に映せていると望ましいです。猫に負担がかかる場合は、無理のない範囲で撮影しましょう。
吐しゃ物の保存方法
吐しゃ物は、基本的には掃除をする前に写真で記録します。大きさがわかるよう比較できる物を画面に入れながら、吐しゃ物の全体を、色や内容物がわかる明るさで撮影します。異物や血液など気になるものが入っていたら、全体像とは別にアップでも撮っておきます。
また、可能であれば吐しゃ物自体を密閉容器などに保管しておくと、詳しい情報が必要になった場合に役立つ可能性があります。ただし、受診時に持参すべきかどうかは動物病院によって対応が異なります。
受診時に役立つ「5項目のチェックリスト」
ここまでの内容を、受診前にひと目で確認できるようにまとめました。
| 発生状況 |
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|---|---|
| 吐しゃ物の特徴 |
|
| 吐き方 |
|
| 他の症状や状態 |
|
| 生活環境など |
|
猫の嘔吐を防ぐための日常的なケア
病気から来る嘔吐は防げませんが、一時的な嘔吐についてはケアで予防できるものがあります。
ここからは、猫の嘔吐を防ぐ日常的なケアを紹介します。
食べ方や食事内容の工夫
1日分のフードは複数回に分け、一度に食べる量を少なくします。勢いよく食べがちな猫には、早食い防止用の食器やおもちゃと食器を一体化したグッズ、自動給餌器を活用する方法もあります。
フードを変更するときは、急に切り替えないようにします。新しいフードを現在のフードに少しずつ混ぜ、様子を見ながら段階的に新しいフードを増やしていきます。切り替えている間は、体調や便の状態にも気を配るようにします。
毛玉ケア専用のフードも市販されています。全ての猫に効果があるとは限らず、猫の年齢や健康状態によっても食べられるかどうかは異なります。
ブラッシングによる毛玉対策
毛づくろいで猫が飲み込む毛の量を減らすには、定期的なブラッシングが効果的です。抜け毛が増える換毛期は回数を増やし、長毛種では毛玉やもつれがないかも確認します。毛を引っ張らないよう、力を入れずに行います。
ブラシは、猫の毛質や皮膚の状態に合うものを選びます。
誤飲・誤食を防ぐ室内環境づくり
ひもや毛糸などの長いものは、猫が食べてしまうと腸が手繰り寄せられることがあるため、危険です。
輪ゴムやヘアゴムなどのゴム製品やビニール袋なども、猫が飲み込むと胃腸に詰まったり粘膜を傷つけたりする可能性があります。これらは猫が誤って飲み込まないよう、床に落としたままにしたり、猫の手が届く場所に放置したりしないように気を配ります。
ひもがついているおもちゃなども同様に、ひもを噛みちぎって飲み込んでしまう可能性があるので、使う場合は必ず飼い主が一緒に遊び、遊ばないときはロックがかけられるような入れ物にしまいます。
人間用の薬、洗剤、薬品、猫に有害な食べ物なども、猫の手が届かない場所に保管します。床やテーブルに薬を落とした場合は、猫が近づかないうちに片付けます。
植物のいくつかは猫にとっては有害ですが、特にユリ類は注意が必要です。花瓶の水を飲んだり、被毛についた花粉をなめたりするだけでも、腎臓に重い障害が起こり、命に関わる場合があります。ユリは家や庭に持ち込まない方が安心です。何かのはずみで猫がユリと接触した場合には、症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ連絡してください。
まとめ|愛猫が吐いたときは焦らず「観察」と「正しいケア」を
愛猫が吐いたときは、早めに受診が必要かどうかを検討し、動物病院へ連れていくようにしましょう。吐いた場合に観察しておくポイントやケアのしかたを詳しく知っておくことで、何かあったときにも落ち着いて対応でき、動物病院の受診時に必要な情報の整理にも役立ちます。
猫をはじめとした愛玩動物の健康管理や看護、動物医療の仕事に関心がある方は、TCA東京ECO動物海洋専門学校の「愛玩動物看護師&高度医療専攻」「水族館・動物園看護師専攻」「動物看護師専攻」に目を向けてみてください。
専門的に動物看護を学ぶことで、ペットとの暮らしに役立つ知識を身に付けられるとともに、動物の命と健康を支える仕事につながる第一歩となります。
監修者情報
獣医師 丸田香緒里
Animal Life Partner院長、(一社)往診獣医師協会代表、獣医師。日本大学卒業。動物病院勤務後「人も動物も幸せな生活が送れるためのサポート」をモットーにAnimal Life Partner設立。
獣医中医師、ペット栄養管理士などさまざまな資格を生かし、シニアケアや飼い主の心のケアにより力を入れた往診診療のほか、企業顧問、製品開発など活動は多岐にわたる。
著書:「犬のいる暮らし 一生パートナーでいるために知っておきたいこと」(池田書店)