【世界最大の魚】ジンベエザメを知ろう!暮らし・体の仕組み・会える場所まで解説
2025.08.01
- 目次
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- ジンベエザメとはどんな生き物?
- 分類と学名|全ての魚のなかで最大の種
- 「ジンベエザメ」?「ジンベイザメ」?名前の由来とは
- ジンベエザメの「体の仕組み」がすごい!
- 世界最大級の巨体
- 外敵を寄せつけない厚い皮膚と頑丈な構造
- 模様は「指紋」のように個体差がある
- 大きな口でどう食べる?ジンベエザメの「濾過摂食」とは
- 深海にも潜れる体の秘密
- 特殊な目と腸の構造に注目
- ジンベエザメの暮らしをのぞいてみよう
- どこに住んでいる?分布と生息環境
- 主食はプランクトンと小魚|食性と捕食方法
- 一日中泳いでいるって本当?
- 誰かに話したくなる!ジンベエザメの雑学4選
- サメなのに歯がほとんど役に立たない?
- 赤ちゃんは卵のままお腹で育つ!?
- 季節や場所によって大集結する「群れ」現象
- 共生する「おともだち」コバンザメの存在
- 日本でジンベエザメに出会える場所
- 沖縄美ら海水族館(沖縄県)
- 海遊館(大阪府)
- いおワールド かごしま水族館(鹿児島県)
- のとじま水族館(石川県)
- 自然のなかで野生のジンベエザメに出会うには?
- まとめ|知れば知るほど奥が深い、ジンベエザメの世界
圧倒的な体格で多くの人を魅了するジンベエザメ。しかし、その魅力は「大きさ」だけではありません。
ジンベエザメは、生息する海域や生活スタイルにどのような特徴があるのでしょうか。また、なぜあのような独特な体の構造をしているのでしょうか。
本記事では、ジンベエザメの身体的特徴や暮らし、思わず誰かに話したくなる面白い雑学、さらには日本国内で実際に観察できるスポットまでを詳しく紹介します。
世界最大の魚、ジンベエザメの奥深い魅力を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ジンベエザメとはどんな生き物?
ジンベエザメの特徴は、その並外れた体の大きさにあります。魚類のなかでも最大クラスで、全長は10〜12メートルにも達します。
しかしその一方で、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは「絶滅危惧IB類(EN)」に分類されており、絶滅の危機に瀕しています。
その生態にはいまだ多くの謎が残されていますが、そもそもジンベエザメとはどのような生き物なのでしょうか。
ここでは、ジンベエザメの分類や学名、さらに名前の由来について詳しく見ていきましょう。
分類と学名|全ての魚のなかで最大の種
ジンベエザメ(学名:Rhincodon typus)は、ジンベエザメ科に属する唯一のサメです。
サメやエイといった「軟骨魚類」の仲間で、ジンベエザメの骨格も全て軟骨で構成されており、硬い骨はありません。
また、ジンベエザメは全ての魚のなかで最大の種であり、世界中の温かい海を回遊しながら暮らしています。
「ジンベエザメ」?「ジンベイザメ」?名前の由来とは
「ジンベエザメ」と「ジンベイザメ」、どちらの表記も目にするため、正しいのはどちらなのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この2つはどちらも同種を指しますが、日本魚類学会が定める標準和名は「ジンベエザメ」です。
また、ジンベエザメの名前は、背中にある白い斑点と縞模様が、日本の伝統的な衣服「甚兵衛羽織(じんべえばおり)」の柄に似ていることから、名付けられたといわれています。
なお、ジンベエザメの英名は「whale shark」といい、直訳すると「クジラザメ」という意味です。
ジンベエザメの「体の仕組み」がすごい!
巨大な体で海を回遊しているジンベエザメには、驚くべき体の仕組みが隠されています。ここからは、ジンベエザメの体の仕組みについて、詳しく紹介していきます。
世界最大級の巨体
ジンベエザメは、魚類のなかで世界最大級の大きさを誇る、巨大な体が特徴です。
これまでに全長20メートルを超える個体も記録されていますが、一般的には10〜12メートルほどに成長します。これは、大型バス1台分にも匹敵する長さです。
さらに、体重は20トン前後で、ゾウ3頭分にも相当します。なかには、35トンに達したという記録もあり、まさに「世界最大級の巨体」と呼ぶのにふさわしい存在だといえるでしょう。
一方で、ジンベエザメはとても穏やかな性格で、人間にとって危険度が低いサメでもあります。
外敵を寄せつけない厚い皮膚と頑丈な構造
ジンベエザメの皮膚は、最大10センチメートルにもなる厚みがあるのが特徴です。
釘を刺しても跳ね返すほど筋肉の収縮力も強く、体全体がとても頑丈にできています。この厚くて頑丈な皮膚のおかげで、自然界ではジンベエザメに天敵とされる動物はほとんど存在しないといわれています。
模様は「指紋」のように個体差がある
ジンベエザメの名前の由来にもなっている白い斑点模様は、人間の指紋のように個体ごとに異なります。この特徴を活かして、斑点模様は個体識別にも利用されています。
たとえば、研究者やダイバーが、海で遭遇したジンベエザメの写真を撮影し、そのデータを記録することで、個体を追跡できる仕組みも取り入れられているのです。
大きな口でどう食べる?ジンベエザメの「濾過摂食」とは
ジンベエザメは、およそ1.5メートルを超える大きな口を持っています。しかし、その大きな口でエサを噛むことはありません。
ジンベエザメは、口を大きくあけて、海水ごとプランクトンや小魚を吸い込み、えらの内側にある「鰓耙(さいは)」という器官を使って海水を排出し、食べものだけをこし取って食べています。
これは「濾過摂食(ろかせっしょく)」と呼ばれ、ジンベエザメを含む限られた魚しか行わない珍しい食べ方です。
深海にも潜れる体の秘密
ジンベエザメは、なんと2,000メートル以上もの深海まで潜ることができます。しかし、深海は太陽の光がほとんど届かず、とても暗い場所です。
では、そんな暗い深海で、ジンベエザメはどうして自由に泳ぐことができるのでしょうか?
その秘密はジンベエザメの「目」にあります。
ジンベエザメの目は、光が届きにくい深海で、わずかな青色の光を効率的に受け取れるようになっています。この特殊な目のおかげで、暗い深海でも泳ぐことができるのです。
特殊な目と腸の構造に注目
ジンベエザメにはまぶたがありません。しかし、目の表面には、歯のように硬いうろこである「皮歯」があり、これがまぶたの代わりとなって目を守る役割を担っています。
さらに、ジンベエザメは目を引っ込めて隠すことができるため、外的な衝撃から目を守れる構造になっているのです。
また、ジンベエザメは腸の構造も特殊な生き物です。
ジンベエザメの腸には、らせん型のひだがあり、ぞうきんのようにねじりながら便を排出しています。
加えて、ジンベエザメを含むサメやエイなどは、自分で腸を体外に出して、洗うような珍しい行動をすることも知られています。
ジンベエザメの暮らしをのぞいてみよう
多くのユニークな特徴を持つジンベエザメですが、一体どこに住み、どのように暮らしているのでしょうか。
ここからは、ジンベエザメの生態や生活について、詳しく見ていきましょう。
どこに住んでいる?分布と生息環境
ジンベエザメは、世界中の熱帯から亜熱帯にかけての広い範囲を回遊しながら暮らしています。
なかでも赤道付近の温暖な海は、ジンベエザメが集まりやすいことで有名です。
具体的な生息地としては、海外だとフィリピンやメキシコ、オーストラリアなど、日本では沖縄や小笠原諸島の海が挙げられます。
深海に潜ることはありますが、基本的には海面から200メートルまでの浅い海域で過ごしています。
また、ジンベエザメは外洋性の魚で、沿岸から離れて生活しているのが特徴です。
主食はプランクトンと小魚|食性と捕食方法
ジンベエザメは自然界で、主にプランクトンや小魚を食べて暮らしています。
水族館では、オキアミやしらすなどをエサとし、なんと1日に約30キログラムも食べるそうです。
エサは、口を大きく開けて海水ごとゆっくり吸い込み、食べものだけをこし取りながら捕食しています。
一日中泳いでいるって本当?
ジンベエザメは生まれてから死ぬまで、ずっと泳ぎ続ける生き物です。そのため、眠っている間も泳ぎを止めることはありません。
実は、ジンベエザメは口を開けたまま泳ぐことで、海水を体内に取り込み、エラを通して水中の酸素を吸収しています。
このような体の仕組みのため、泳がないと呼吸ができなくなるのです。
誰かに話したくなる!ジンベエザメの雑学4選
ジンベエザメには、知れば思わず誰かに話したくなるような面白い生態がたくさんあります。
ここでは、そんなジンベエザメにまつわる雑学を4つご紹介します。
サメなのに歯がほとんど役に立たない?
ジンベエザメは、エサを噛まずにそのまま飲み込み、歯を使うことがありません。そのため、歯はとても小さく、米粒ほどの大きさにまで退化しているのです。
食事では歯がほとんど役に立っていないにも関わらず、ジンベエザメの口の中には、何千本もの歯が並んでいます。
赤ちゃんは卵のままお腹で育つ!?
ジンベエザメは、「卵胎生(らんたいせい)」といって、母親のお腹の中で卵が孵化し、稚魚として生まれてくる生き物です。
また、生まれてくるときの大きさは、約60センチメートルです。
ただし、ジンベエザメがいつ・どこで出産するかといった詳しい情報はまだ明らかになっておらず、その生態はいまだ多くの謎に包まれています。
季節や場所によって大集結する「群れ」現象
ジンベエザメは、基本的に単独行動をする生き物ですが、エサが豊富な場所や時期によっては、数十匹が集まることもあります。
たとえば、2009年にメキシコのユカタン半島沖では、420匹以上と過去最大規模のジンベエザメの群れが確認され、大きな話題となりました。
また、群れをつくるのは、繁殖行動の一環としての可能性もあると考えられています。
共生する「おともだち」コバンザメの存在
ジンベエザメのまわりには、コバンザメなどの小さな魚が体にくっついて一緒に泳いでいることがあります。
これは、自分よりも大きな生き物にくっつくことで、エサのおこぼれをもらったり、外敵から身を守ったりするためだと考えられています。
ちなみに、コバンザメはサメの仲間ではありません。頭の上に小判型の吸盤を持ち、それを使ってサメなどにくっつく習性があることから、「コバンザメ」と名づけられました。
日本でジンベエザメに出会える場所
ジンベエザメの魅力を知ると、実際にその姿を見に行きたくなる人も多いのではないでしょうか。
2025年7月時点で、日本国内では以下の水族館でジンベエザメに会うことができます。
- 沖縄美ら海水族館(沖縄県)
- 海遊館(大阪府)
- いおワールド かごしま水族館(鹿児島県)
- のとじま水族館(石川県)
さらに、水族館だけでなく、野生のジンベエザメと出会えるチャンスがある場所も存在します。
ここからは、日本でジンベエザメに出会える場所を見ていきましょう。
沖縄美ら海水族館(沖縄県)
沖縄美ら海水族館は、沖縄本島の「海洋博公園」内にある大型水族館です。
巨大な「黒潮の海」水槽で、ジンベエザメを見ることができます。なかでも、世界最長飼育記録を更新中のジンベエザメ「ジンタ」が有名です。
海遊館(大阪府)
海遊館は、大阪ベイエリアに位置する水族館です。
現在、日本国内で2頭のジンベエザメがいる水族館は、海遊館のみで、その希少性でも注目を集めています。
館内の「太平洋」水槽では、巨大なジンベエザメが悠々と泳ぐ姿を間近で楽しむことができます。
いおワールド かごしま水族館(鹿児島県)
いおワールド かごしま水族館は、鹿児島県の魚を中心に飼育・展示している水族館です。
館内の「黒潮大水槽」で、ジンベエザメをはじめ、カツオやマグロのなどの回遊魚が泳ぐ迫力ある光景を楽しめます。
また、土・日・祝日には、ジンベエザメが泳ぐ水槽を上から見学できる「バックヤードツアー」も開催されており、水族館の裏側を体験できる貴重な機会となっています。
のとじま水族館(石川県)
のとじま水族館は、日本海側で唯一ジンベエザメを飼育・展示している水族館です。
「ジンベエザメ館 青の世界」の水槽で、ジンベエザメの迫力ある姿を間近に観察できます。
この水槽は、水量1,600トンと日本海側最大級の規模を誇り、八角柱の形をしているのも特徴のひとつです。
自然のなかで野生のジンベエザメに出会うには?
沖縄県読谷村の沖合には、ジンベエザメを囲った巨大ないけすがあり、そこでジンベエザメと一緒に泳げる体験ダイビングやシュノーケリングツアーが開催されています。
野生のジンベエザメではありませんが、100%の確率でジンベエザメに会うことができるのが魅力です。一方で、自然の海で野生のジンベエザメに出会えるかどうかはまさに運次第。
これまでに野生の目撃例がある場所としては、沖縄(石垣島や与那国島周辺)、小笠原諸島(東京都)、奄美大島(鹿児島県)などが挙げられます。
まとめ|知れば知るほど奥が深い、ジンベエザメの世界
ジンベエザメは世界最大の魚類でありながら、とても穏やかな性格をしている生き物です。その暮らしや体の仕組みには、知れば知るほど驚きと発見があり、奥深い魅力にあふれています。
日本では、海遊館や沖縄美ら海水族館をはじめとするいくつかの水族館で、ジンベエザメの姿を間近に見ることができます。この機会に、ジンベエザメの世界をもっと深く知り、その魅力にふれてみてはいかがでしょうか。