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山岳ガイドになるには?山岳ガイドの学校や資格、仕事内容を公開!

山岳ガイドになるには?山岳ガイドの学校や仕事内容を公開!

自然ブームの需要が高まり、山岳ガイドに注目が集まっています。山岳ガイドは、山の案内はもちろん、気候の変化や山のトラブルから登山客を守るのも仕事です。

山岳ガイドになるには 、数多くの山に登った経験と幅広い知識が必要です。「公益社団法人日本山岳ガイド協会」の資格を取得すれば、活躍の場も広がります。

山岳ガイドの試験は難度が高く、取得までに長い年月がかかります。試験に合格するためには、対策も必要です。専門学校に通えば、試験に必要な準備ができます。

この記事では、山岳ガイド実績のある卒業生を輩出しているTCA東京ECO動物海洋専門学校が、山岳ガイドの資格や将来性、給料、就職先などを解説します。

山岳ガイドに興味をお持ちの人は、ぜひ参考にしてみてください。

山岳ガイドとは?

山岳ガイドとは?

山岳ガイドとは、登山客の安全を確保しつつ、道案内をする仕事です。天候や登山客の体調などを見つつ、危険時には正しい判断をしなければなりません。

山に関するガイドには、以下の3つのレベルがあります。

  1. 自然ガイド
  2. 登山ガイド
  3. 山岳ガイド

「自然ガイド」は、ハイキングをしながら自然や歴史などをガイドするのが仕事です。

「登山ガイド」は、整備された登山道を利用して山を案内します。

「山岳ガイド」は、難度がアップし、雪山や崖、谷などハイレベルコースを案内できるスキルが必要です。

海外の山をガイドできる「国際ガイド」や、スキーのインストラクター、クライミングの資格を取得しオリジナルの強みを持つガイドもいます。顧客のニーズを満たせるガイドに人気が集中する傾向があります。

登山ガイドと山岳ガイドの違い

登山ガイドと山岳ガイドでは、扱う山のレベルが異なります。

登山ガイドは、登山道を歩きながら景色を見たり山登りを楽しんだりしたい人に最適です。積雪期は、自然のなかで森林が育つ範囲を超えた雪山のガイドはできません。また、積雪に関係なく、インストラクター自体をすることができないのが登山ガイドです。

対して山岳ガイドは、登山道以外にも足場が悪い雪山や岩壁などのバリエーションルートを登るため、本格的な山登りをしたい人に向いています。雪山を登ったり、インストラクターをしたりすることも可能です。

山岳ガイドには資格が必要?

山岳ガイドは資格が必要なのでしょうか。資格について詳しく解説していきます。

山岳ガイドになるためには資格は必須ではない

山岳ガイドになるためには資格は必須ではない

山岳ガイドになるためには、資格は必須ではありません。「山岳ガイドです」と名乗った瞬間から活動ができます。

しかし、難度の高い山に登る場合、登山客を安全にガイドする責任があります。登山客も「信用できるスキルの高い山岳ガイドに依頼したい」と考えるでしょう。

資格は必須ではありませんが、やはり無資格のガイドよりも資格を持っているガイドが選ばれる傾向にあります。

今後山岳ガイドとしてキャリアを重ねるなら、山岳ガイドの資格は取得したほうが信用が向上します。

公益社団法人日本山岳ガイド協会

公益社団法人日本山岳ガイド協会

「公益社団法人日本山岳ガイド協会」は、日本で唯一山岳ガイドの資格を認定している協会です。資格の認定の他に、ガイドの養成や研修もおこなっています。

自然保護に関する教育指導者も育成しており、正しい登山の普及と発展に貢献しています。

もともとは、「社団法人日本アルパイン・ガイド協会」として設立されましたが、現在は環境省が管理する法人です。日本に限らず、アルプス山脈、ヒマラヤ山脈などを案内できる国際ガイドの認定もおこなう団体です。

山岳ガイドの資格は2種類のステージがある

公益社団法人日本山岳ガイド協会が認定している山岳ガイドの資格には、2種類のステージがあります。

山岳ガイドの資格
資格の種類 山岳ガイドステージⅠ 山岳ガイドステージⅡ
できること ・国内にある複数の山を尾根伝いに歩くことができる

・季節を問わず国内で登山ルートのガイドができる

・国内で季節を問わず山岳ガイドやインストラクターがおこなえる
できないこと ・両手足や道具を使って急角度の岩壁を登ったり、雪山を登山したりするのはできない

・道具を使わない山登り講習はできない

・インストラクターはできない

特になし
※スキーガイドに関してはⅠ、Ⅱともに別に資格が必要

山岳ガイドステージⅡを取得すると、ガイド以外にインストラクターの仕事をすることも可能です。

また、難度の高い雪山や岩壁を参加者と一緒に登れるようになります。山を限定せず、どの山でもガイドができるようにもなります。

とはいえ、山岳ガイドステージⅡを取得している人は国内に少数です。

ガイドをつけて山登りを楽しみたい人の大半は初心者~中級者のため、初めは山岳ガイドステージⅠを取得すれば十分活躍できるでしょう。

参考:公益社団法人日本山岳ガイド協会

山岳ガイドになるには?

山岳ガイドになるには?

山岳ガイドの進学先には、以下の3つのパターンがあります。

  1. 専門学校
  2. 大学
  3. 短大

山岳ガイドになるには、どの学校が良いのかを解説します。

専門学校

専門学校

山岳ガイドを目指すなら、専門学校に通う道がおすすめです。実際に山でおこなうフィールドワークはもちろん、自然や環境、植物や動物など幅広い授業が学べます。

TCA東京ECO動物海洋専門学校の「ECO自然環境クリエーター専攻」では、プロガイドによる登山の基礎から体験できるフィールド実習が豊富に準備されています。

たとえば、中部山岳国立公園で行う演習では、登山の技術や装備の扱い方、危機管理の能力を習得します。また、フィールドテクニックや鳥類学といった授業を通して、山岳ガイドで必要な知識を身に着けることも可能です。同級生との交流を楽しみながらアウトドアの授業で野外活動の基礎を学び、実践で活かせる知識や技術を習得できるのが、専門学校の大きな魅力です。

大学

大学

山岳ガイドになりたい人は、大学への進学の道もあります。しかし、山岳ガイドに特化した学科は少ない傾向です。

大学には環境問題や生物学を学べる学科があり、自然に関する幅広い知識が学べます。山をガイドする際に役立つ、道に咲く植物や歴史の知識を得ることができるでしょう。

山岳ガイドを目指すことは可能ですが、授業で実習がないのがネックです。卒業後に山を学べる企業に就職し、経験を重ねる必要があります。

短大

短大

短大も大学と同じで、専門学校のような山岳ガイドに特化したコースは少ない傾向にあります。

短大の場合も、卒業後に山岳ガイドについて学べる企業への就職が必要です。

山岳ガイドに特化した実習はありませんが、自然環境に関するフィールドワークの授業があります。山のガイドに役立つ、広い範囲の知識を学ぶことは可能です。

山岳ガイドになるための費用や期間は?

山岳ガイドになるための費用や期間は?

山岳ガイドになるには 、どれぐらいの費用や期間が必要なのでしょうか。今回は公益社団法人日本山岳ガイド協会の資格試験を基準に解説します。

費用

費用

山岳ガイドの費用については、公益社団法人日本山岳ガイド協会の「山岳ガイドステージⅠ」を基準に説明します。

まず一次試験では、「書類審査」「体力・適性試験」「筆記試験」がおこなわれます。

一次試験の詳細
試験内容 料金
書類審査 5,000円
体力・適性試験 30,000円
筆記試験 20,000円
※他の資格で一次試験合格にしている場合、筆記試験料は15,000円
合計 50,000~55,000円

二次試験に進むと「無積雪期講習1」「無積雪期講習2・検定」「積雪期講習・検定」「残雪期講習・検定」「雪崩対策技術検定」「ファーストエイド講習会」があります。無積雪期講習1と無積雪期講習2・検定を受けたあとは、実施日に合わせて他の試験を受けられます。

二次試験の詳細
試験内容 料金
無積雪期講習1 85,000円
無積雪期講習2・検定 70,000円
積雪期講習・検定 70,000円
残雪期講習・検定 70,000円
雪崩対策技術検定 70,000円

※日本雪崩ネットワークのレベル1修了者は、養成指導者の推薦があれば免除可能(審査料10,000円必要)

ファーストエイド講習会 45,000円
合計 350,000~410,000円

一次試験と二次試験を合計すると、資格試験を受けるだけで400,0000~465,000円 の費用が必要になります。

期間

期間

山岳ガイドは、短期間で取れる資格ではありません。

山岳ガイドの試験は雪山でおこなわれる講習もあり、四季を通して試験が続きます。

一次試験の書類審査は4月にスタートし、筆記試験は6月に終了します。二次試験に進むと、8~9月におこなわれる無積雪期講習のあとに積雪期講習を受けるため、山に雪が多く積もる3月まで待たなければなりません。5月にある残雪期講習を受けて、全ての試験が終了します。

山岳ガイドステージⅠの書類審査を受けるには、300日以上山に行ったり標高1,500m以上の雪山経験が60日以上あったりと、規定の経験や技術が必要です。

4月に始まり年をまたいで5月に終了するため、合格まで約1年間の試験期間があります。

山岳ガイドの仕事内容

山岳ガイドの仕事内容

山岳ガイドは、登山客を安全に目的地に案内するのが仕事です。エリアを固定するパターンと日本全国をエリアとする2種類のタイプがあります。

エリア固定型の山岳ガイドは、得意な山や住んでいるエリアに限定してガイドをします。山を知り尽くしているため、経験値が豊富です。危険な場所や天候のクセも熟知しているため、安心して登山を楽しんでもらえます。

日本全国をエリアとする山岳ガイドは、日本中の山の知識を持つプロ中のプロです。日本でも数人しかいない全国エリアの山岳ガイドは、初心者には案内できない、難度の高い山にも対応できるスキルを持っています。

山岳ガイドのやりがい

山岳ガイドのやりがい

山岳ガイドのやりがいは、担当した登山客に喜んでもらえることが1番でしょう。難しいルートを全員で安全に下山できた瞬間に達成感を覚えます。

日本全国のルートだけではなく、山の植物や野生動物にも詳しくなります。気候の変化や危機管理能力も身につき、スペシャリストとして成長できる環境です。

山は何が起きるかわからず、危険をともなう仕事です。自然にふれあいながら、責任感と冷静さが身につくメリットもあります。

山岳ガイドにはどんな人が向いている?

山岳ガイドにはどんな人が向いている?

山岳ガイドに向いている人は、以下の3つの条件にあてはまることが大切です。

  • どんなときでも冷静に対処できる
  • お客様を楽しませるトーク力や企画力
  • 優れたホスピタリティや気遣い

山岳ガイドはどんなときでも冷静に対処できる人が向いています。天候の悪化や怪我のトラブルがあっても、慌てずに対応できる知識や経験値を必要とします。

山の知識はもちろん、お客様を楽しませるトーク力や企画力も必要です。人気ガイドは、お客様に選ばれるセンスを持っています。優れたホスピタリティや気遣いができる人が向いている職業です。

山岳ガイドの就職先は?

山岳ガイドの就職先は?

山岳ガイドには3パターンの就職先があります。

  • フリーランス
  • ガイドツアーのある旅行会社
  • スキーやキャンプなどを取り扱うアウトドア会社

それぞれを比較し、自分に合う就職先を見つけましょう。

フリーランス

フリーランス

ほとんどの山岳ガイドは、フリーランスとして活動をしています。

山岳ガイド一本で生計を立てている人もいますが、ほんのひと握りです。簡単なトレッキング(山歩き)のみの場合は、会社員の副業としてガイドをしている人もいます。

最初からフリーで活動をする人もいますが、ほとんどがどこかに就職して経験値を重ねてから独立をします。

フリーの場合、山に入れない季節は、勉強期間にあてたり、他の仕事をしたりしましょう。

いきなり独立するのではなく、安定的な収入を得られる環境に身を置くのが理想です。そこで経験を重ね、必要な資格と知識を勉強しましょう。

ガイドツアーのある旅行会社

ガイドツアーのある旅行会社

旅行会社に就職をすれば、安定した給料を得ながら山岳ガイドの仕事ができます。大手ではなく、山に特化した小さな旅行会社がおすすめです。

旅行会社に就職した場合、一般的な観光ツアーのガイド、空港・駅・ホテルや空港への送迎など仕事は多岐にわたります。

外国人観光客の需要があるため、語学力のある人材が求められています。旅行会社のなかには、業務に必要な資格取得のサポートがある企業もあるため、就職先を選ぶ際の指標のひとつにするとよいでしょう。

スキーやキャンプなどを取り扱うアウトドア会社

スキーやキャンプなどを取り扱うアウトドア会社

山岳ガイドの就職先には、スキーやキャンプなどを取り扱うアウトドア会社もおすすめです。山岳ガイドだけではなく、インストラクターなどの資格や知識が必要です。

大きな企業の場合は分業されていますが、小さな会社の場合は業務を兼任できる人材が求められます。アウトドアグッズの物販業務も、同時におこなうことが多いです。

季節によって登山ができない時期は、スキーのインストラクターの管理や経理などの業務をこなす場合もあります。収入が保障されるため、駆け出しの山岳ガイドにおすすめです。

山岳ガイドの給料はいくら?

山岳ガイドの給料を雇用の場合、フリーの場合に分けてそれぞれ解説します。

雇用の場合

雇用の場合

旅行会社やアウトドア会社での雇用の場合、他の仕事と兼任するパターンが一般的です。

ガイドの仕事以外の日は、事務作業など一般的な社員と同じ業務をこなします。

求人ボックスやindeedを調べると、正社員の場合の給料は、平均300,000円。アルバイト雇用の場合は、時給の平均は1,500円程度が相場です。

山岳ガイド一本で生計を立てるには、長い期間と幅広い知識が必要です。一般的な企業に入り、安定した収入を得ながら副業をする人もいます。

参考:求人ボックス
参考:indeed

フリーの場合

フリーの場合

フリーの場合は山岳ガイドの経験値やレベルにより収入に大きな差があります。

ガイドの料金は、山や季節によるものの、Webで公開されている個人のサイトを調べると、1日30,000円程度になることが多いようです。

単純計算で20日間の山岳ガイドの仕事をしたとすると、1ヵ月間で600,000円(30,000円×20日間)となります。

なお、フリーの登山家として活動している人のなかには、テレビに出演したり、執筆活動をおこなったりする人もいます。セミナーや講演会を定期的におこなえば、大きな収入を得ることが可能でしょう。

まとめ:学生のうちに山岳ガイドの知識を学ぼう

学生のうちに山岳ガイドの知識を学ぼう

山岳ガイドは、山のプロフェッショナルです。今後予想されるインバウンド需要拡大を受け、山を案内できる人材の育成が求められています。

TCA東京ECO動物海洋専門学校」の「ECO自然環境クリエーター専攻」 では、キャンプや登山などの山での実習はもちろん、ガイドに必要な自然や危機管理の知識を身につけることが可能です。

本校では企業プロジェクトを授業に取り入れているため、現場で働くプロから実践的な技術を習得できます。

また、Wメジャーカリキュラムを利用すれば、追加料金不要で専攻以外の授業を受けられます。

山岳ガイドの資格取得に向けても学べるため、実践的な知識や技術を身につけ、難度の高い試験にチャレンジしたい人にはおすすめです。

他にも、オープンキャンパスに参加すれば、実際の授業を体験して学校の雰囲気を知ることも可能です。体験は学校内だけでなく、YouTubeでも参加できます。アーカイブも視聴できるため、ぜひ応募前にチェックしてみてください。

「山岳ガイドに興味がある」「学生のうちから山岳ガイドの知識を身につけたい」と感じた人は、無料の資料請求がおすすめです。冊子をめくるだけで、専攻以外の情報もじっくりチェックできます。

山岳ガイドは、登山客の命をあずかる責任があります。同時に山のおもしろさを教える魅力的な仕事です。多くの人に選ばれる人気の山岳ガイドを目指しましょう。