デグーの飼い方ガイド!特徴や性格・飼って後悔した人の声も紹介
2025.04.28

デグーというかわいらしい小動物をご存知でしょうか?近年ペットとして人気が高まっているデグーは、愛らしい姿と社交性の高さで多くの人々を魅了しています。しかし、飼育には特有の難しさもあり、十分な知識を持って迎え入れることが大切です。
この記事では、デグーの基本的な特徴から飼育方法、注意点まで詳しく解説します。デグーとの生活を検討されている方はもちろん、すでに飼育している方もぜひ最後までご覧ください。
デグーの基礎知識
デグーは南米チリの乾燥した山岳地帯に生息する小型の齧歯類です。学名は「Octodon degus」といい、野生では集団生活を送る社会性の高い動物です。日本では2000年代に入ってからペットとして人気が高まりました。
ここでは、デグーの基礎知識を紹介します。
デグーの特徴
デグーは、リスとネズミを合わせたようなかわいらしい外見をしています。体長は約15〜20cm、尾長は約10〜15cm、体重は約200〜300gほどで、一般的にハムスターやリスと似たサイズ感です。
最大の特徴は、長いしっぽです。デグーの長いしっぽは先端が広がっていることから「トランペット・テイル」とも呼ばれています。このしっぽは体のバランスを取る役割を果たしています。ただし、非常にデリケートなため、間違った扱い方をすると、しっぽの一部または全部が脱落してしまうこともあります。
そのほか、「前歯が一生涯伸び続けるため、常に硬いものをかじって歯を削っている」「昼行性で、朝方から夕方にかけて活発に活動する」なども、デグーの特徴です。
デグーの性格
デグーは非常に社会性が高く、野生では10〜20匹の群れを作って生活しています。さらに知能も高く、好奇心旺盛な動物です。名前を覚えたり、簡単な芸を覚えたりすることもあります。
ただし性格については個体差が大きく、神経質で警戒心が強い子もいれば、大胆で人懐っこい子もいることを覚えておきましょう。
デグーの鳴き声
デグーは「アンデスの歌うネズミ」とも呼ばれるほど、複雑な鳴き声を持つ動物です。主な鳴き声には以下のようなものがあります。
意味 |
鳴き声 |
---|---|
喜び・リラックスを表す鳴き声 |
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警戒・威嚇を表す鳴き声 |
|
不安・要求を表す鳴き声 |
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甘え・コミュニケーションを表す鳴き声 |
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デグーの鳴き声は感情表現が豊かで、喜び、警戒、不満などさまざまな状況に応じた声を発します。これらの鳴き声を理解できるようになると、デグーとのコミュニケーションがより深まります。
デグーの寿命
適切な飼育環境と健康管理のもとでは、デグーの平均寿命は約5〜8年程度です。なかには10年近く生きる個体もいます。
デグーの寿命は、遺伝的要因だけでなく、飼育環境や食事、ストレスなど様々な要素に影響されます。また、社会性の高いデグーは、孤独によるストレスで寿命が短くなることもあるため、複数頭での飼育や十分な飼い主とのコミュニケーションが重要です。
デグーを飼って後悔した人の声
デグーを飼育する魅力は多くありますが、実際に飼ってみると予想外の大変さを感じる方も少なくありません。デグーを迎える前に、こうした実体験を知っておくことは重要です。
温度管理で電気代がかかる
デグーは高温多湿に弱く、適正温度は20〜24℃程度です。特に夏場は25℃以上にならないよう、エアコンでの温度管理が必須となります。
温度管理は熱中症を防ぐためにも重要ですが、経済的な負担は覚悟のうえで飼育をすることになるでしょう。また、冬場も極端な低温は避ける必要があるため、通年での温度管理が求められます。
トイレを覚えない
デグーは、トイレをしっかりとしつけることが難しい動物です。ある程度、決まった場所で排泄する習慣をつけることはできますが、思い通りに覚えさせるのは難しく、どうしても不規則になる傾向があります。
そのため、トイレのしつけを期待しすぎると、実際に飼育を始めてからギャップを感じることもあるでしょう。
排泄物の処理や掃除が負担になると感じる方も少なくありません。特に複数飼いをしている場合は排泄量も多くなり、掃除の頻度や手間がさらに増します。
事前にその点を理解したうえで、掃除しやすい床材を選んだり、トイレ砂やペットシーツを活用するなど、日々の負担を軽減する工夫が必要です。
家具や電気コードなどをかじられた
デグーは齧歯類の本能として、あらゆるものをかじる習性があります。これは歯の伸びすぎを防ぐための自然な行動ですが、家具や電気コードなどを傷つけてしまうことも。
デグーを部屋で遊ばせる際は、かじられると困るものや危険なものはすべて片付けるか、デグーの届かない場所に移動させる必要があります。
毎日の散歩が大変
デグーは活発な動物なので、ケージ内だけでは十分な運動ができないことがあります。そのため、室内で自由に動き回らせる「部屋んぽ」の時間を設けることが推奨されています。
適度な運動は健康維持やストレス軽減に役立ちますが、時間の確保や見守りが必要なため、飼い主にとっては負担に感じることもあるでしょう。
また、部屋の中でコードをかじったり、狭い場所に入り込んだりと、思わぬ事故につながる可能性もあります。
無理に部屋んぽを続けるよりも、回し車や安全に遊べるスペースをケージ内に用意して、代替の運動手段を確保しておくのもひとつの方法です。
鳴き声が大きい
デグーは鳴き声で気持ちを伝え合う、コミュニケーション能力の高い動物です。甘えるとき、機嫌がいいとき、警戒しているときなど、状況によって鳴き方が異なります。
ただし、特に警戒音は非常に大きく、人によっては予想以上の音量に驚くこともあります。
集合住宅などでは、深夜や早朝の鳴き声が近隣トラブルの原因になる可能性もあるため、注意が必要です。鳴き声には個体差がありますが、デグーは比較的賑やかな動物であることを理解したうえでお迎えすることが大切です。
デグーの種類
ペットとして飼育されるデグーには、被毛の色や模様によっていくつかの種類があります。主な種類としては以下のようなものがあります。
- スタンダード(標準色):野生のデグーと同じ褐色〜灰褐色の被毛を持つ
- サンド:薄い茶色〜サンドカラーの被毛を持つ
- ブルー:グレーがかった青みのある被毛を持つ
- サンドパイド:サンドカラーの被毛に白い斑点や模様を持つ
- ブルーパイド:ブルーの被毛に白い斑点や模様を持つ
- パイド:標準色の被毛に白い斑点や模様を持つ
これらの種類による性格や飼育方法の違いはほとんどありませんが、希少なカラーバリエーションは価格が高くなる傾向があります。一般的なペットショップでは、スタンダードタイプが最も入手しやすいでしょう。
デグーの飼い方
デグーを健康で幸せに飼育するためには、適切な環境と日常のケアが重要です。ここでは、デグーの飼育の基本について解説します。
飼育に必要なもの
デグーを飼うために最低限必要なものは以下のとおりです。
必要なアイテム |
特徴 |
---|---|
ケージ |
最低でも幅60cm×奥行45cm×高さ60cm程度のサイズが必要 |
給水ボトル |
常に新鮮な水が飲めるよう、ウォーターボトルを設置 |
餌入れ |
重く倒れにくいものを選ぶ |
隠れ家(寝床) |
木製の小屋などが適している |
砂浴び場 |
デグーは砂浴びをする習性があるため、チンチラサンドまたはデグーサンド専用の砂と砂場を用意 |
回し車 |
運動不足解消のために、直径約25〜30cm程度の金属製またはプラスチック製の回し車があると良い |
ステージ・パーチ |
ケージ内に高さの変化をつけるために、木製のステージを設置する |
かじり木 |
歯の伸びすぎを防止するため、適切な硬さの木(りんごの木など)を用意 |
温度計・湿度計 |
ケージ内の環境を適切に保つために、温度計と湿度計を設置しておく |
初期費用としては、ケージや必要な用品を含めて約2万〜5万円程度を見込んでおくと良いでしょう。また、デグー自体の価格は、一般的なペットショップで1匹あたり5,000〜15,000円程度です。
用意する餌
デグーの食事は以下のものから構成されます。
- デグー専用ペレット
- チモシー(牧草)
- 野菜(少量)
食事の量としては、ペレットは1日あたり体重の約5%程度(成体で10〜15g程度)を目安に与え、チモシーは常に食べられる状態にしておきます。野菜は1日に小さじ1杯程度から始め、様子を見ながら調整しましょう。
また、新鮮な水は常に飲めるようにしておくことが重要です。水は毎日交換し、給水ボトルの先端が詰まっていないか定期的にチェックしましょう。
日常のケア
デグーの健康を維持するためには、以下のような日常のケアが必要です。
- ケージの掃除(排泄物の除去、水の交換、食べ残しの除去を毎日行う。週に1〜2回は部分的な清掃、2週間に1回程度は大掃除を行う)
- 砂浴び(週に3〜5回程度)
- 体重測定(週に1回程度)
- 部屋んぽ(毎日30分〜1時間程度)
デグーは活発な動物なので、ケージの外で自由に動き回れる時間(部屋んぽ)を設けることが重要です。毎日30分〜1時間程度の部屋んぽを行うと、運動不足解消やストレス発散になります。
デグーがかかりやすい病気
デグーは比較的丈夫な動物ですが、特有の病気にかかることもあります。早期発見と適切な対応のために、これらの病気について知っておくことが重要です。
不正咬合
不正咬合(ふせいこうごう)とは、前歯が適切に磨り減らず、伸びすぎてしまう状態です。デグーの歯は一生涯伸び続けるため、常に硬いものをかじって適切な長さに保つ必要があります。
症状 |
食欲不振、体重減少、よだれ、口の周りの被毛の乱れなど。重症の場合は、伸びすぎた歯が口の内側や舌を傷つけることもある |
---|---|
予防法 |
かじり木や硬い餌、チモシーなどを十分に与え、歯が自然に削れる環境を整える |
治療法 |
軽度の場合は、獣医師による歯の切削(トリミング)で対処。重度の場合は全身麻酔下での処置が必要になることもある |
過剰グルーミング
過剰グルーミングとは、ストレスなどが原因で自分の体を過度に舐めたり噛んだりし、脱毛や皮膚の傷につながる行動です。
症状 |
特定の部位(主に腹部や脇腹)の毛が薄くなる、皮膚が赤くなる、傷ができるなど |
---|---|
予防法 |
適切な環境(十分なスペース、おもちゃ、複数頭での飼育など)を整え、ストレスを軽減する |
治療法 |
原因となるストレスを特定し、取り除くことが基本。獣医師の診察を受け、必要に応じて薬物療法を行うこともある |
尾抜け
尾抜け(おぬけ)とは、デグーが危険を感じた際にしっぽの皮膚が剥がれ落ちる現象です。これは野生での捕食者から逃れるための防衛機能ですが、ペットとしての飼育環境では不要なトラブルとなります。
症状 |
しっぽの皮が剥がれ、中の骨や筋肉が露出する。一度尾抜けを起こしたしっぽは元に戻らず、皮膚が再生しても毛は生えてこない場合が多い |
---|---|
予防法 |
デグーを扱う際は必ず体全体を支え、しっぽだけを掴んだり引っ張ったりしない。急に驚かせたり、無理やり捕まえようとしたりしない |
治療法 |
軽度の場合は自然治癒することもあるが、出血がひどい場合や感染が疑われる場合は獣医師の診察を受ける。重度の場合は、残ったしっぽの切断手術が必要になることもある |
デグーを飼育する際の注意点
デグーを健康に飼育する際、覚えておくべき注意点があります。これらのポイントを守ることで、デグーとの生活をより良いものにすることができるでしょう。
果物や野菜など糖分の多いものを与えない
デグーは糖分の代謝が苦手な体質を持っています。糖分を過剰に摂取すると、糖尿病になるリスクが高まるため、果物や甘い野菜(ニンジン、サツマイモなど)、はちみつなどの甘いものは、ごく少量か、できれば与えないようにしましょう。
また、市販のおやつも糖分含有量を確認し、糖分の少ないものを選ぶことが重要です。
糖尿病になると、多飲多尿、体重減少、元気消失などの症状が現れ、進行すると命に関わる深刻な状態になることもあります。適切な食事管理で予防することが何よりも大切です。
温度・湿度管理を徹底する
デグーは高温多湿に弱い動物です。原産地であるチリの乾燥した環境に適応しているため、日本の夏の蒸し暑さには特に注意が必要です。
適切な温度は20〜24℃程度、湿度は40〜60%程度が理想的です。特に夏場は25℃を超えないよう、エアコンなどで温度管理を行いましょう。熱中症は命に関わる危険な状態を招くため、温度管理は最優先事項です。
また、冬場も極端な低温は避け、急激な温度変化にも注意が必要です。温度計と湿度計をケージの近くに設置して、こまめにチェックする習慣をつけましょう。
かじられると危険なものは近づけない
デグーは本能的にあらゆるものをかじる習性があります。部屋んぽの際には、以下のようなものに特に注意しましょう。
- 電気コード
- 家具や壁紙
- ビーズ、ボタン、プラスチック片など誤飲の可能性がある物体
- 観葉植物
部屋んぽの前には必ず部屋の安全確認を行い、危険なものはすべて片付けるか、デグーの届かない場所に移動させることが重要です。
尻尾をつかまない
デグーのしっぽは非常にデリケートで、掴むと「尾抜け」を起こす可能性があります。デグーを扱う際は、以下のポイントに注意しましょう。
- デグーを持ち上げる際は、胸の下と後ろ足の間に手を入れ、体全体を支えるようにする
- 子供がデグーと触れ合う際は、正しい扱い方を教え、必ず大人が監督する
- デグーを驚かせないよう、急な動きや大きな物音を立てないように注意する
一度尾抜けを起こしたしっぽは元に戻らないため、予防が何よりも重要です。
大きな音を立てない
デグーは敏感な聴覚を持っているため、大きな音や突然の物音にストレスを感じます。飼育時は、以下を徹底しましょう。
- テレビやスピーカーなど大きな音が出る機器の近くにケージを置くことは避ける
- 掃除機、ミキサー、工具などの大きな音を立てる作業は、できるだけデグーから離れた場所で行う
- 夜間にデグーが休めるよう静かにする
騒音や突然の大きな音は、デグーにストレスをもたらし、過剰グルーミングなどの問題行動や健康問題の原因になることがあります。
デグーの飼育にまつわるよくある質問
デグーの飼育に関して、多くの方が抱く疑問に答えます。
Q: デグーは一匹でも飼えますか?
A: デグーは社会性の高い動物なので、本来は複数頭での飼育が理想的です。しかし、一匹での飼育も可能です。その場合は、飼い主が十分なコミュニケーションを取り、毎日の部屋んぽなどで刺激を与えることが重要です。社会的なつながりの不足によるストレスを最小限に抑えるよう心がけましょう。
Q: デグーはどれくらいなつきますか?
A: デグーは比較的人になつきやすい動物ですが、個体差もあります。若いうちから優しく頻繁に触れ合うことで、手に乗ったり名前を呼ぶと反応したりするようになることが多いです。ただし、神経質な性格の子もいるため、その子のペースに合わせて少しずつ信頼関係を築くことが大切です。
Q: デグーとハムスターを一緒に飼えますか?
A: デグーとハムスターを同じケージで飼育することはおすすめしません。サイズの違いや行動特性の違いから、共食いなどのトラブルが起きる可能性があります。また、それぞれに適した環境や餌も異なるため、別々に飼育するのが安全です。
Q: デグーの臭いは気になりますか?
A: デグーは比較的臭いの少ない小動物です。しかし、ケージを清潔に保たないと、排泄物や餌の残りから不快な臭いが発生することがあります。定期的な掃除と衛生管理を行えば、臭いはそれほど気にならないレベルに抑えられます。
Q: デグーはどこで購入できますか?
A: デグーは専門のペットショップやブリーダーから購入できます。また、里親募集サイトなどで新しい飼い主を探しているデグーに出会うこともあります。購入の際は、活発で目や鼻に分泌物がなく、被毛につやがあるなど、健康状態の良い個体を選ぶことが重要です。
まとめ
デグーは愛らしい外見と高い社交性を持つ魅力的な小動物です。しかし、飼育には注意点や難しさもあります。適切な環境と日常のケアを提供することで、デグーとの素晴らしい時間を過ごすことができるでしょう。
飼育を検討されている方は、十分な準備と知識を身につけてから迎え入れることをおすすめします。そして、すでにデグーと暮らしている方は、この記事が日々のケアの参考になれば幸いです。