ピットブルは怖い?特徴や性格、後悔しないための飼い方のポイントも解説

2023.08.18

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「ピットブルはどんな犬?」「怖いイメージがあるけど、飼っても平気?」という疑問を持っている人もいるでしょう。

屈強なピットブルに「獰猛で怖い」というイメージを抱いている人も少なくありません。しかし、実は明るく無邪気な一面も持ち合わせており、愛好家も多い犬種です。

ただし、安全に飼うためには、飼育環境の準備や適切なトレーニングが欠かせません。

この記事では、ピットブルの特徴や歴史、飼うときのポイント、お手入れ方法、かかりやすい病気などを詳しく解説します。

ピットブルの飼育を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

ピットブルとは?

ピットブルとは?

「世界最強の犬」と呼ばれることもあるピットブルは、アメリカ原産の中型犬で、筋肉質なたくましい体つきと、ビロードのようになめらかな被毛が特徴的です。

もともとは闘犬のために作られた犬種で、名前には「ピット=牛を閉じ込めた囲い」のなかで「ブル=雄牛」と戦う犬という意味があるといわれています。

また「ピットブル」というのは通称で、「アメリカン・ピット・ブル・テリア」が正式名称です。

ただし、アメリカン・ピット・ブル・テリアは、犬種の登録や血統書の発行などをおこなっているJKC(ジャパンケネルクラブ)においてはミックス犬扱いで、犬種として公認されていません。

そのため、ピットブルの血統書はJKCではなく、NPO法人のKCJ(日本社会福祉愛犬協会)などが発行しています。

ピットブルの特徴

ピットブルの特徴

ピットブルの特徴を、以下の表にまとめました。

性格 明るい、無邪気、人懐っこい、飼い主に従順、粘り強い、賢い、勇敢、愛情深い、警戒心が強い、興奮すると獰猛になることもある
被毛 主にダブルコート カラーはブラック、グレー、ブラウン、ホワイト、黄褐色、ブラック&ホワイト、ブラック&グレー、トライカラーなど
体高・体重 体高:約46~56cm・体重:約14~36kg
平均寿命 8〜14歳

項目ごとに詳しく見ていきましょう。

性格

ピットブルは、基本的には明るく無邪気な性格で、愛情深く、しつけをきちんとおこなえば飼い主には従順な犬種です。

もともと闘犬のために生み出された犬種のため、気性が荒いのではないかと思われがちです。ですが、通常はむやみに人を襲うことはありません。

ただし、興奮すると歯止めがきかなくなり、獰猛な一面が現れることもあるため、飼い主による適切なコントロールが必要不可欠です。

被毛

ピットブルの被毛は、ボディーラインがくっきりと浮き出るほど短く、ツヤがあり、なめらかな手触りが特徴的です。

カラーは、ブラック、グレー、ブラウン、ホワイト、黄褐色などの単色のほか、ブラック&ホワイトやブラック&グレー、トライカラーなど、さまざまな種類があります。

また、ピットブルには被毛が二層になったダブルコートのタイプと、一層のシングルコートのタイプがありますが、「ダブルコートの場合が多い」といわれています。

体高・体重

ピットブルの体高は約46〜56cm、体重は約14〜36kgです。

個体差はあるものの、メスよりオスの方が大きくなりやすい傾向があります。

平均寿命

個体差はありますが、「ピットブルは8歳から14歳が寿命」といわれています。

ただし、闘犬として命を落とすケースも含まれるため、本来の寿命は12歳から14歳という見解もあり、必ずしも短命というわけではありません。食生活や生活習慣を整えてあげることで、さらに長く生きられる場合もあります。

ピットブルは危険?過去の事件や事故

ピットブルは危険?過去の事件や事故

闘犬のために生み出され、攻撃的な側面のあるピットブルは、世界的に「凶暴で危険な犬種」ととらえられることが少なくありません。

実際、ピットブルが人に噛みついてしまう事故や、故意に人を襲わせる殺傷事件なども過去に起こっており、一部の国や地域では飼育が規制されています。

しかし本来、ピットブルには好んで人を噛む性質はありません。ピットブルに関連する事件や事故の多くは、興奮して歯止めがきかなくなったことや、不審者から飼い主を守ろうとしたことなどがきっかけで起こっているともいわれています。

ピットブルを飼う際には、必ず適切なしつけやトレーニングをおこない、安全に飼育できる環境を整え、人に危害を加えないようしっかりと管理することが大切です。

ピットブルの歴史

ピットブルの歴史

ピットブルこと「アメリカン・ピット・ブル・テリア」は、もともと闘犬用として生み出された犬種です。

闘犬が盛んにおこなわれていた1870年頃に、闘犬用のスタフォードシャー・テリアと、同じく闘犬用のブルドッグなどを交配して、アメリカで産出されました。

1898年、アメリカン・ピット・ブル・テリアを犬種として初めて公認したのは、アメリカのUKC(ユナイテッドケネルクラブ)です。

動物愛護の観点からアメリカで闘犬が禁止されると、飼い主に従順で賢い性質を活かし、使役犬(職業犬)として牧場などで活躍するようになりました。しかし、20世紀に入ると、ピットブルの攻撃的な側面に目をつけた悪人たちが、特に好戦的な個体を繁殖させ、犯罪などに悪用するようになります。

ピットブルが「凶暴で危険」というイメージは、このような犯罪に使われていた歴史も関係しているといえるでしょう。

イギリスやアメリカなど一部の国や地域では、現在でもピットブルを危険犬種とし、輸入や所有を禁止しています。

ピットブルを飼うときのポイント

ピットブルを飼うときのポイント

ピットブルを飼うときのポイントは、主に以下の6つです。

  • 適切な訓練やしつけをおこなう
  • 他のペットと一緒に飼わない
  • 広めの飼育スペースを確保する
  • 暑さに弱いため温度管理に気をつける
  • 毎日1〜2時間×2回ほど散歩する
  • 頑丈なリードや口輪を用意する

項目ごとに詳しく解説します。

適切な訓練やしつけをおこなう

ピットブルは非常に力が強く、興奮しはじめたら大人の力でも抑えるのは困難です。

だからこそ、幼少期から訓練やしつけを徹底しておこない、主従関係をハッキリさせておくことが欠かせません。

飼育の難易度が高いピットブルを安全に飼うためには、しつけ教室や家庭犬の訓練所などで、プロの指導を受けるのもひとつの手です。

他のペットと一緒に飼わない

ピットブルは、他の犬や小動物などと争いが起きやすい傾向があります。そのため、他のペットとは一緒に飼わないほうがベストです。

やむを得ない事情がある場合は、別々の部屋を用意し、他のペットと顔を合わせないようにするなどの特別な配慮が必要になります。

広めの飼育スペースを確保する

ピットブルは中型犬で体のサイズは大型犬ほど大きくありませんが、非常にパワフルな犬種です。

狭いところに閉じ込めていると、ストレスが溜まって破壊行動を起こす恐れがあるため、なるべく広めの飼育スペースを確保しましょう。

暑さに弱いため温度管理に気をつける

ピットブルのようにマズルの短い「短吻種(たんふんしゅ)」の犬は、暑さに弱く、熱中症などになりやすい傾向があります。

特に夏場はクーラーなどで部屋を涼しく保ち、ピットブルが過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。

毎日1〜2時間×2回ほど散歩する

ピットブルは非常に体力のある犬種なので、毎日1〜2時間の散歩を朝・晩で2回ほどおこない、運動量をしっかり確保する必要があります。

運動好きで、室内にこもっていることを好まないピットブルは、愛犬を連れて長時間散歩するのが苦にならない人に向いています。

頑丈なリードや口輪を用意する

きちんとしつけられ、普段は穏やかな性格のピットブルでも、何かの拍子に興奮して攻撃的になり、周りに危害を加えてしまう恐れもゼロではありません。

安全に飼育するためには、ピットブルの強い力にも負けない頑丈なリードを必ず用意しておきましょう。

また、危険な行動が見られる場合には、無駄吠えや噛みつきを防止する口輪を利用するのもひとつの方法です。

ピットブルのお手入れ方法

ピットブルのお手入れ方法

ピットブルのお手入れのポイントは、以下の2つです。

  • 週1〜2回ブラッシングする
  • 定期的に濡れタオルで体を拭く

それぞれ順番に見ていきましょう。

週1〜2回ブラッシングする

ピットブルは短毛のため、基本的には毎日ブラッシングする必要はありません。

通常は週に1回ほど、抜け毛が増える換毛期には週に2回ほど、ペット用のブラシを用いてブラッシングしてあげるのがおすすめです。

定期的にブラッシングすることで、毛ヅヤや手触りがよくなり、抜け毛ケアにもつながります。

定期的に濡れタオルで体を拭く

週1〜2回のブラッシングに加えて、定期的に濡れタオルで体を拭いてあげると、さらに抜け毛対策になり、体をより清潔に保てます。

垂れ耳のピットブルは耳の中が蒸れることもあるため、耳の中まで優しく拭いてあげるとよいでしょう。

軽い汚れは濡れタオルで拭くだけでも十分です。ですが、特に体が汚れたときや体臭が気になったときには、犬用シャンプーで洗ってあげるとサッパリします。

ピットブルがかかりやすい病気

ピットブルがかかりやすい病気

ピットブルがかかりやすい病気には、以下のようなものがあります。

  • 股関節形成不全
  • アレルギー性皮膚炎
  • チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)
  • 網膜形成異常
  • 動脈管開存症
  • 口蓋裂
  • 尿石症

それぞれの症状や気をつけるべきポイントについて、順番に見ていきましょう。症状が見られたら、動物病院に相談してください。

股関節形成不全

股関節形成不全とは股関節の緩みや骨の変形が主な原因で、骨盤と後ろ足の骨がかみ合わなくなる病気です。

「7割は遺伝的な要因、3割は環境的な要因で発症する」といわれています。

後ろ足のふらつきが特徴的な症状です。散歩を嫌がる、段差を嫌がる、散歩中に座りたがるなどの症状が見られたら、要注意です。

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎の主な症状は皮膚のかゆみで、進行すると赤みや脱毛、湿疹などが生じるのが特徴です。

食物中のタンパク質に過剰な免疫反応が起こる「食事性アレルギー」や、ダニやハウスダストなどのアレルゲン物質と接触したときに起こる「接触性アレルギー」があります。

症状を改善させるためには、アレルギー源を取り除くことに加えて、投薬や塗り薬などを根気よく続けていくことが大切です。

チェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)

犬の目頭の部分には「第三眼瞼(だいさんがんけん)」と呼ばれる膜があり、その部分が飛び出してしまう病気をチェリーアイ(第三眼瞼腺脱出)といいます。

先天的な要因や外傷などによって、第三眼瞼の付け根が緩むために起こる病気です。

1歳未満での発症が多く、軽度の場合は綿棒などで押し戻すともとに戻ります。悪化すると手術が必要になる場合もあります。

網膜形成異常

網膜形成異常とは、網膜血管の発育になんらかの異常が起きることで生じる目の病気です。

軽度の場合は無症状です。重度の場合は視力の低下や網膜剥離、最悪の場合は失明する恐れもあるため、早めの治療を心がけましょう。

動脈管開存症

動脈管開存症は、先天的な犬の心臓病のなかでも特に多いといわれています。

初期症状はほとんどなく、進行すると疲れやすさや咳などの症状が見られるようになります。

重症化すると、肺高血圧症や心不全の状態になることもあるため、注意が必要です。

口蓋裂

口蓋裂(こうがいれつ)とは、口と鼻の境目にある口蓋に穴が開き、口と鼻がつながってしまう病気です。

特に短吻種の犬に多い遺伝性の疾患です。犬同士のケンカや交通事故、歯周病などが原因で後天的に口蓋裂を生じることもあります。

後天的な口蓋裂は自然に治ることもあるものの、根本的な治療としては手術がおこなわれるケースが多いです。

尿石症

尿石症とは、尿に含まれるミネラル成分が結晶になり、頻尿や血尿、排尿痛、発熱などの症状を引き起こす病気です。

結石が尿路に詰まって尿路閉塞を起こすと、命にかかわることもあるため、気になる症状が見られる場合は迅速に動物病院を受診しましょう。

ピットブルの子犬を迎える方法

ピットブルの子犬を迎える方法

ピットブルの子犬を迎える方法としては、主に以下の2つが挙げられます。

  • 里親として迎える
  • ペットショップやブリーダーから入手する

それぞれの方法について見ていきましょう。

里親として迎える

ピットブルを飼いたい場合、里親として保護犬を迎える方法があります。

検索サイトで「ピットブル 里親」と入力すると、ピットブルの里親を募集しているページが出てくるので、ぜひチェックしてみてください。

その他、保健所や動物愛護センターなどでも保護犬の譲渡がおこなわれています。

ペットショップやブリーダーから入手する

ピットブルはペットショップやブリーダーからも入手できます。

ただし、ピットブルは飼う人を選ぶ犬種のため、一般的なペットショップで売られていることはあまり多くありません。

ピットブルを飼いたい場合は、ブリーダーの販売サイトをチェックするのが近道です。

ピットブルの価格相場

ピットブルの価格相場

購入のタイミングや月齢などによっても異なります。ピットブルの価格は、一般的に10万〜20万円が相場といわれています。

なお、「親がチャンピオン犬」といった付加価値がつくと、20万〜30万円、もしくはそれ以上の金額に跳ね上がることもあります。

ピットブルのよくある質問

ピットブルのよくある質問

ここからは、ピットブルに関する以下のような質問に答えていきます。

  • ピットブルは初心者でも飼える?
  • ピットブルを飼っても後悔しない?
  • 赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭でピットブルを飼うのは危ない?

  • ピットブルは日本で飼育できる?

それぞれの回答を確認して、疑問の解消に役立ててください。

ピットブルは初心者でも飼える?

ピットブルは犬の飼育に不慣れな人にはあまり向いていない犬種で、「初心者が飼うにはハードルが高い」といわざるを得ません。

ピットブルは闘犬用に作り出された犬種のため、しっかりとしたしつけや訓練をおこない、適切な飼育環境を整えなければ、事故につながる恐れがあるからです。

犬を飼ったことがない人は、まずはしつけがしやすく温厚な性格の犬種を選ぶと安心です。

ピットブルを飼っても後悔しない?

ピットブルは非常に力が強く、服従訓練ができていないと、散歩中に飼い主がグイグイ引っ張られてしまったり、逃走しそうになって怖い思いをしたりするケースもあります。

そのため、しつけがうまくいかないと「こんなはずじゃなかった」と後悔する人も少なくありません。

ピットブルを飼って後悔しないためには、幼少期から徹底してしつけやトレーニングをおこなうことが重要です。

赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭でピットブルを飼うのは危ない?

好んで人に噛みつくことは少ないものの、ピットブルは興奮すると歯止めがきかず、獰猛になることもあります。

そのため、赤ちゃんや小さな子どもがいる家庭では、万が一の事故を防ぐため、ピットブルを飼うのは控えたほうが安心です。

ピットブルは日本で飼育できる?

イギリスやアメリカなど、一部の国や地域ではピットブルを「危険犬種」として飼育を規制していますが、日本の法律では禁止されていないため飼育は可能です。

ただし、都道府県や市区町村によっては、ピットブルを「特定犬」として、檻の中で飼うよう条例で定めている場合もあります。

そのため、ピットブルを飼育する際には各自治体への確認が必要です。

まとめ:ピットブルの特性を理解して安全に飼いましょう

まとめ:ピットブルの特性を理解して安全に飼いましょう

今回は、ピットブルについて詳しく解説しました。

最後に改めてピットブルの特徴をまとめます。

性格 明るい、無邪気、人懐っこい、飼い主に従順、粘り強い、賢い、勇敢、愛情深い、警戒心が強い、興奮すると獰猛になることもある
被毛 主にダブルコート カラーはブラック、グレー、ブラウン、ホワイト、黄褐色、ブラック&ホワイト、ブラック&グレー、トライカラーなど
体高・体重 体高:約46~56cm・体重:約14~36kg
平均寿命 8〜14歳

犬種によって性格の傾向はあるものの、個体差も大きいため、温厚で飼いやすいピットブルもいれば、攻撃性が強く現れているピットブルもいます。

ピットブルを安全に飼育するためには、幼い頃から根気強くトレーニングをおこない、家族の言うことを聞くよう、きちんとしつけておくことが大切です。

ピットブルは本来、賢く勇敢で、愛情深い犬種です。愛犬が持ち味を活かして幸せに暮らせるよう、特性を十分に理解し、責任を持って育てていきましょう。

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