グレートデンの特徴や性格は?断耳は必要?飼い方やお手入れ方法を紹介

2023.09.05

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「グレートデン」という名前を聞いて、「なんだか強そう」と感じた人もいるかもしれません。

グレートデンは世界でも有数の大型犬で、その姿は堂々たる風格があります。なかなか日本のペットショップで見かけることはありませんが、「かっこいいので家に迎えたい」という人も多い人気犬種です。

この記事では、グレートデンの特徴や性格、飼うときのポイントのほか、断耳についても解説します。グレートデンに興味がある人は、ぜひ参考にしてください。

グレートデンとは?

グレートデンとは?

グレートデンは、すらりとした長い首を持ち、足が長いため体高もある超大型犬です。

特に大きめのグレートデンの場合は、「まるで仔馬を連れているよう」といわれることもあるほどです。2013年には、アメリカ・ミシガン州のグレートデンが「世界一背の高い犬」としてギネス世界記録に認定されました。

その堂々たる風格から、神話の神にたとえて「犬のなかのアポロン」と呼ばれることもあります。

グレートデンの「デン」はデンマークのことですが、ドイツが原産で、「ドイチェン・ドッゲ」(ドイツの犬)がグレートデンの正式名です。原産国のドイツでは「ジャーマン・マスティフ」と呼ばれ、国犬に認定されています。映画『101匹わんちゃん』のダニーのモデルにもなりました。

グレートデンの特徴

グレートデンの特徴

とにかく大きくて風格のあるグレートデンですが、実際にはどのような犬種なのでしょうか。性格や体格について表にまとめました。

性格 非常に穏やか
被毛 柔らかくて細い短毛
AKCで認められている毛色は6種類(ブルー、ブラック、マント、フォーン、ハールクイン、ブリンドル)
体高・体重 平均体高:71〜81cm
平均体重:49〜79kg
平均寿命 7〜10年

それぞれの項目について詳しく解説します。

性格

グレートデンは、「優しい巨人」といわれるほど穏やかでフレンドリーです。家庭の子どもや他の犬とも上手に接し、仲良く遊ぶことができます。

ただし、子犬の頃はやんちゃな一面を見せることもあり、小さいうちからしっかりしつけをすることが大切です。わがままに成長してしまうと、成犬になったグレートデンが何かの拍子に興奮したり驚いたりすることで、事故につながってしまう可能性もあります。

飼い主への忠誠心が強く、物覚えもよいため、しつけはしやすい犬種です。

被毛

グレートデンの被毛は柔らかくて光沢があり、細かい短毛が体に密についています。

アメリカンケンネルクラブ(通称AKC)で認められている毛色は次の6種類です。

  • ブルー
  • ブラック
  • マント
  • フォーン
  • ハールクイン
  • ブリンドル

ブルーは暗青灰色とも呼ばれるスチールブルーで、ブラックは光沢のある黒になります。

フォーンは頭部がブルーのイエローゴールドで、鼻から顔のあたりは黒になっています。ブリンドルは、タイガーストライプともいわれるフォーンとブラックのしま模様です。

ハールクインは白地に黒系の斑点(はんてん)がある毛色で、白地で体の上部がブラックの毛で覆われているような毛色をマントといいます。

体高・体重

グレートデンは、体高(肩の盛り上がった部分(キ甲部)から地面までの高さ)と体長がほとんど同じであることも特徴のひとつです。

オスの場合、体高が80cmを超えて、大人の女性のウエストほどの高さになることもあります。また体重も、大きい場合は90kgを超えることもあるようです。

平均寿命

一般的な犬の平均寿命は13〜15年といわれていますが、グレートデンは7〜10年とやや短命です。

グレートデンの歴史

グレートデンの歴史

「グレートデン」という名前は、そのまま直訳すると「大きなデンマークの犬」という意味です。

ドイツ原産なのになぜデンマークの名前がついたのかというと、フランスの物理学者がデンマークを訪れた際に偶然出会って「グレートデン」と紹介したからとされています。

グレートデンの起源ははっきりわかっていないものの、紀元前3000年頃のエジプトの記念碑によく似た犬が描かれています。また、古代エジプトだけでなく、古代ギリシャやローマにもグレートデンによく似た犬が存在したという見解があります。

ドイツのマスティフとグレーハウンドを交配して誕生したともいわれており、昔から「ボア(イノシシ)ハウンド」と呼ばれる野生のイノシシを狩るための猟犬として活躍していました。

昔のグレートデンは現在よりさらに筋肉質で大きく、高い運動能力と強さ、勇敢さをあわせ持った軍用犬としても重宝されていました。

優雅で威風堂々としたたたずまいのグレートデンは、ドイツ上流階級の人々に愛され、グレートデンを飼うことが一種のステータスとなっていたといわれています。

グレートデンに断耳は必要?

グレートデンに断耳は必要?

断耳(だんじ)とは、犬の耳の大部分を切除することです。本来のグレートデンは垂れ耳ですが、切って短くすることがあります。

断耳は、もともとはグレートデンが猟犬として活躍した時代に、ケガを防ぐためにおこなわれていた施術です。現在では主に見た目を変える目的で切除することもあり、「残酷だ」という意見も多くあります。

垂れ耳の犬の場合、断耳により「耳の中の蒸れを防いで感染症を予防できる」「犬の聴覚が高められる」として肯定する意見が根強く残るのも事実です。ただし、これらの意見に医学的根拠はありません。

アメリカでは現在でも断耳は一般的ですが、ヨーロッパの一部の地域では健康上の理由以外での断耳を禁止・制限しています。

日本では、断耳を制限する動きはヨーロッパに比べて少ないものの、生後3ヵ月くらいまでにおこなう施術のため、本当に必要なのかしっかり判断しましょう。

グレートデンを飼うときのポイント

グレートデンを飼うときのポイント

「体が大きく王者の風格でかっこいい」と人気のグレートデンを自宅に迎えて飼う場合、どのような点に気をつければよいのでしょうか。

ポイントは、次の4つです。

  • 飼育スペースと飼育費用に余裕が必要
  • 毎日1時間以上運動させる
  • 若いうちにしっかりしつけと訓練をおこなう
  • 食後すぐに運動させない

順番に解説します。

飼育スペースと飼育費用に余裕が必要

迎えたときは小さな子犬でも、グレートデンは超大型犬まで成長します。犬というより、人間の家族が1人増えると考えて覚悟と準備をしたほうがよいでしょう。

穏やかな性格でゴロゴロ寝転がっているので、「案外狭い家でも飼える」という意見もあります。しかし、大人になっても窮屈でストレスにならない飼育スペースの確保は必要です。

具合が悪くなったりケガをしたりしたとき、体重が50kgを超えるような大型犬を抱き上げ、車に乗せて病院に連れて行けるかということも考えなければなりません。

また、大型犬の場合、食費や医療費も小型犬より多くかかります。グレートデンが今の家で幸せに過ごせるか、しっかり確認してから迎えましょう。

毎日1時間以上運動させる

大型犬のグレートデンは、室内だけでは運動不足でストレスを溜めてしまいます。1時間以上は外で散歩させるなど、毎日しっかり運動させましょう。

たまにはドッグランのような広いスペースを走り回らせてあげるとよいです。運動量が多いので、飼い主にも体力が必要です。

若いうちにしっかりしつけと訓練をおこなう

グレートデンは優しく穏やかで辛抱強い性格ですが、子犬の時期はやんちゃで遊び方が激しいことがあります。

体が小さいうちに、しっかりとしつけておきましょう。やんちゃなまま超大型犬の大きさまで成長すると、飼い主がケガをする恐れがあります。

小さいうちにしっかりとしつけておけば、大人になってから穏やかに過ごします。飼い主への忠誠心が強く、しつけはしやすいので、他の人や動物に飛びかからないようしつけと訓練をしっかりおこないましょう。

食後すぐに運動させない

食事をさせたら、すぐに遊びに誘うようなことはせず、休ませましょう。

大型犬の場合、胃拡張や胃捻転という病気になりやすく、これらの病気はドカ食いや一気食い、食後すぐの運動などがきっかけで起こりやすいといわれています。

休ませている間は、気分が悪そうにしていないか、前の食事のときと変わったところはないか注意しましょう。

グレートデンのお手入れ方法

グレートデンのお手入れ方法

グレートデンは短毛なので、上毛と下毛の二層になったダブルコートや長毛種に比べると、被毛のお手入れはしやすいです。ですが、被毛の他にもお手入れをしたい箇所があります。

グレートデンのお手入れ方法は、次のとおりです。

  • 毎日ブラッシング、または全身をタオルで拭く
  • 1〜2ヵ月に1回シャンプーをする
  • 定期的に歯磨きをおこなう
  • 耳が汚れたら耳掃除をする

ひとつずつ解説します。

毎日ブラッシング、または全身をタオルで拭く

グレートデンは短毛のシングルコートなので、被毛のお手入れに手間はかかりません。

ただし、特徴のひとつであるツヤのある被毛を保つため、毎日ブラッシングや全身のタオル拭きをおこないましょう。基本は1日1回ですが、換毛期で抜け毛が増える時期は1日2回おこなったほうがよいでしょう。

1〜2ヵ月に1回シャンプーをする

被毛のツヤを保ち、皮膚病を防止するためには、毎日のブラッシングやタオル拭きのほか、1〜2ヵ月に1回程度シャンプーをしてしっかりすすぎましょう。

抜け毛をごっそり取り除くので、普段わかりにくい皮膚の炎症も発見しやすいです。シャンプーの前にブラッシングをしておくと、毛が絡まりにくくシャンプーしやすくなります。

定期的に歯磨きをおこなう

口腔疾患を防止するためには、定期的な歯磨きも必要です。

歯磨きの方法としては、ガーゼを指に巻いて歯の表面の汚れを拭き取るのがよいでしょう。

耳が汚れたら耳掃除をする

グレートデンは垂れ耳のため、耳に汚れが溜まりやすいです。汚れたら耳掃除をしましょう。

耳から悪臭がしたり、いつもと違う汚れ方をしていたりする場合は病院の受診をおすすめします。

グレートデンのかかりやすい病気

グレートデンのかかりやすい病気

グレートデンと生活するうえでは、大型犬がかかりやすい病気に特に注意が必要です。

グレートデンのかかりやすい病気は、次のとおりです。

  • 胃拡張、胃捻転
  • 股関節形成不全
  • 拡張型心筋症
  • 肥大性骨異栄養症
  • アジソン病(副腎皮質機能低下症)

順に解説します。

胃拡張、胃捻転

胃拡張や胃捻転は、胃が拡張してねじれてしまい、血液を圧迫してショック症状を起こすこともある病気です。

原因にはドカ食いや一気食いのほか、加齢やストレスもあります。ドカ食いや一気食いをさせず、食後は運動しないで静かに過ごさせるようにしましょう。

様子が急変した場合は、救急で病院を受診してください。

股関節形成不全

股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)とは、股関節の成長が不十分なために起こる病気です。

股関節形成不全は大型犬に発症しやすい病気で、股関節が成長し切れないために足が痛くてうまく歩けなくなることがあります。

主な原因は遺伝で、親が股関節形成不全だった場合は注意が必要です。肥満も原因のひとつと考えられているため、体重管理もしっかりおこないましょう。

拡張型心筋症

拡張型心筋症は、心臓を動かす心筋に異常があり、心臓が十分収縮できず全身に送られる血液が減る病気です。心臓に血液が溜まり、心臓が肥大して見えることからこのように呼ばれています。

4〜6歳くらいの若い大型犬に発症しやすい病気といわれ、元気がない、食欲がない、咳をしているなどの場合は拡張型心筋症の初期症状である可能性があります。

進行すると呼吸困難や突然死を引き起こすこともあるため、様子がおかしい場合は早めに病院へ連れていきましょう。

肥大性骨異栄養症

肥大性骨異(こつい)栄養症は長い骨の端に異常が見られる病気で、3〜5ヵ月くらいの成長期の大型犬によく見られます。歩き方がおかしくなったり、運動をしたがらなかったり、痛みや発熱などの症状が出ます。

原因は不明とされていますが、カルシウムやリン、ビタミンCなどの栄養素の不足や偏りともいわれています。

食事を手作りする場合は、特に栄養素に注意しましょう。ケンケンしたり跛行(はこう・片足を引きずって歩くこと)が見られたりしたら、病院を受診しましょう。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

アジソン病(副腎皮質機能低下症)は、副腎という臓器の機能が低下して副賢皮質ホルモンが作られなくなってしまう病気です。

副腎皮質ホルモンが低下すると、栄養素の代謝や免疫系に悪影響が出ます。食欲が低下したり、下痢や嘔吐を起こしたり、気分がいつも落ち込んだりしているような症状もあります。

完治が難しくはっきりした症状も出にくいので、発見が遅れ、突然呼吸困難になったり意識がなくなってしまったりすることもある厄介な病気です。

ストレス過多が原因といわれているため、ストレスを溜めないようにすることで予防効果が期待できます。

グレートデンの子犬を迎える方法

グレートデンの子犬を迎える方法

グレートデンを迎えるにはどうしたらよいのでしょうか。グレートデンの子犬を迎える方法は、次のとおりです。

  • ブリーダーに紹介してもらう
  • ペットショップで見かけることはほとんどない
  • 里親になる

順に解説していきます。

ブリーダーに紹介してもらう

グレートデンの子犬を迎えるには、グレートデンのプロであるブリーダーからの紹介がほとんどです。

ブリーダーからの紹介で迎えるメリットは、迎える日まで管理をしっかりしてもらえたり、迎えたあとも相談に乗ってもらったりできることです。

グレートデンのブリーダーは日本には多くありません。ですが、ホームページやSNSで情報を発信しているブリーダーもいるので、ブリーダーからの紹介を希望する場合は探してみましょう。

ペットショップで見かけることはほとんどない

グレートデンをはじめとした大型犬は、日本のペットショップで扱われていることは、ほぼありません。

日本では敷地の狭い住居が多いため、大型犬を飼うにはペットショップ以外の方法で迎えることになるでしょう。

ペットショップのなかには、ブリーダーや子犬を探すのを手伝ってくれたり、交配をおこなっていたりするところもあります。

里親になる

「里親」とは、公共機関や民間が運営している保護施設から迎えることです。

保護施設から迎えると、ペットショップに比べてかなり費用を抑えられるのがメリットです。また、しつけや予防注射がある程度進んでいることもあり、自分でおこなう手間が軽減されることもあります。

ただし、保護施設にいるグレートデンの場合、病気を持っていたり人間に不信感があったりすることがあります。病気と付き合う覚悟や、粘り強く信頼を得るための努力も必要です。

グレートデンの価格相場

グレートデンの価格相場

グレートデンをブリーダーから紹介してもらう場合、平均30万円ほどになります。

年齢が若いほど高くなる傾向にあり、血統や体の大きさ、人気の毛色かどうかなども価格に影響します。

大型犬の場合は、大型のケージやトイレも必要になるので、初期費用としては子犬の価格に10万円程度をプラスして見込んでおくとよいです。

グレートデンのよくある質問

グレートデンのよくある質問

グレートデンについてのよくある質問と回答をまとめました。

  • グレートデンの事故を防止するには?
  • グレートデンはしつけをしやすい?

順に回答します。

グレートデンの事故を防止するには?

グレートデンの事故防止には、体が小さい頃からしつけと訓練をしっかりおこない、大きくて丈夫なケージや頑丈なリードを使うことが大切です。

グレートデンは穏やかな性格で、人間の子どもや他の犬とも上手につき合いますが、子犬のときはやんちゃで遊び方が激しいこともあります。

そのまま超大型犬の大きさに成長すると、興奮した拍子に飼い主や他の犬をケガさせることもあるので、小さい頃からのしつけは重要です。

また、簡単には壊されない頑丈なケージを用意し、散歩には引きちぎられないよう丈夫なリードを使いましょう。

グレートデンはしつけをしやすい?

子犬のときはやんちゃなグレートデンですが、飼い主への忠誠心が強く優しい性格なので、しつけはしやすいとされています。

小さい頃からしっかりしつけと訓練をおこなうことで穏やかな性格に育ちます。万が一の事故を防止するためにも、しっかりとしつけをおこないましょう。

まとめ:グレートデンの特徴を覚えておこう

まとめ:グレートデンの特徴を覚えておこう

グレートデンは、ドイツ原産の超大型犬で、神話のアポロン神にたとえられるほど堂々とした風格で人気の犬種です。

グレートデンの特徴をもう一度おさらいします。

性格 非常に穏やか
被毛 柔らかくて細い短毛
AKCで認められている毛色は6種類(ブルー、ブラック、マント、フォーン、ハールクイン、ブリンドル)
体高・体重 平均体高:71〜81cm
平均体重:49〜79kg
平均寿命 7〜10年

穏やかな性格で忠誠心も強く、しつけもしやすいとされています。

特に大きな個体の場合、「仔馬を連れている」といわれるほどの大型犬です。被毛は短毛のシングルコートで、お手入れはしやすいでしょう。歯や耳の汚れも掃除してあげてください。

大型犬であるため、ストレスを感じさせない広い飼育スペースと、多くの飼育費用が必要になります。しっかり準備をして迎えましょう。

ペットショップでの扱いがほとんどなく、迎えるのは容易ではありませんが、大きくて風格があり、子どもや他の犬にも優しいグレートデンがいる生活はきっと幸せなものになるでしょう。



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