モルモットの飼い方は?性格・寿命など基礎知識から飼育の注意点まで解説
2025.04.28

- 目次
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- モルモットの基礎知識
- モルモットの性格
- モルモットのサイズ・体重
- モルモットの鳴き声
- モルモットの寿命
- モルモットの種類
- イングリッシュ(ショートヘア)
- ペルビアン(ベルビアン)
- アビシニアン
- テディ
- クレステッド
- スキニーギニアピッグ
- モルモットの飼い方
- 飼育に必要なもの
- 用意する餌
- 日常のケア
- オス・メスの選び方/多頭飼い
- モルモットがかかりやすい病気
- ビタミンC欠乏症
- 不正咬合
- 皮膚疾患
- 膀胱炎・尿路結石
- 呼吸器疾患
- モルモットの飼育に向いている人・向いていない人
- モルモットを飼育する際の注意点
- 温度管理を徹底する
- NG食材を把握しておく
- ストレスを与えないようにする
- モルモットの飼育に関するよくある質問
- まとめ
モルモットはふっくらとした体型と穏やかな性格で、ペットとして人気の小動物です。ハムスターやデグー、チンチラなどの同じような小動物と並び、初心者にも飼いやすく、初めての小動物として選ばれることも多くあります。
この記事では、モルモットの基礎知識から種類、飼い方、かかりやすい病気、飼育する際の注意点まで詳しく解説します。これからモルモットを迎え入れようと考えている方はもちろん、すでに飼っている方もぜひ参考にしてください。
モルモットの基礎知識
モルモットは南米アンデス地方原産の小動物で、学名は「カビア・ポルケルス(Cavia porcellus)」です。テンジクネズミ科に属し、英語では「Guinea Pig(ギニアピッグ)」と呼ばれています。日本では「モルモット」の他に「テンジクネズミ」とも呼ばれており、これは江戸時代にオランダから輸入された際に「インドネズミ」という意味で名付けられたものです。
ここでは、モルモットの基礎知識として性格やサイズ・体重、鳴き声、寿命について解説します。
モルモットの性格
モルモットは温和で穏やかな性格をしており、ペットとして飼いやすい小動物です。以下のような性格の特徴があります。
- 社交的
- 人に慣れやすい
- おとなしい
慣れない環境では警戒することもありますが、徐々に馴染んでくると、飼い主の声や姿を認識するようになります。餌をもらう時間が近づくと嬉しそうに鳴いたり、名前を呼ぶとこちらを見つめるなど、可愛らしいしぐさを見せてくれるでしょう。
モルモットのサイズ・体重
モルモットは小型の哺乳類ですが、ハムスターなどの他の小動物と比べると比較的大きいサイズです。体長は成体で約20〜30cm、体重はオスで約900〜1200g、メスで約700〜900gまで成長します。
モルモットは生後約6〜8か月で成体のサイズに達します。品種や個体差によってサイズや体重は異なりますが、一般的にオスの方がメスよりも大きく成長する傾向があります。
モルモットの鳴き声
モルモットは感情表現が豊かで、鳴き声を使い分けて気持ちを伝える動物です。主な鳴き声には以下のようなものがあります。
意味 |
鳴き声 |
---|---|
喜びや甘えを表す鳴き声 |
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要求や興奮を表す鳴き声 |
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警戒や怒りを表す鳴き声 |
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驚きや緊張を表す鳴き声 |
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これらの鳴き声を理解することで、モルモットの気持ちや体調を把握するのに役立ちます。特に普段と異なる鳴き方をする場合は、何らかの問題がある可能性があるため、注意深く観察しましょう。
モルモットの寿命
適切な環境と食事、ケアを提供した場合、モルモットの平均寿命は5〜7年程度です。なかには8年以上生きる個体もいますが、個体差や飼育環境によって大きく左右されます。
一般的な短毛種(イングリッシュモルモットなど)やアビシニアンモルモットは、平均寿命が少し長めです。一方で、毛がないスキニーピッグなどは体温調節が難しく、平均寿命が短い傾向があります。
モルモットの種類
モルモットには様々な品種があり、毛の長さや質、カラーパターンなどで分類されています。ここでは代表的な品種をみていきましょう。
イングリッシュ(ショートヘア)
最も一般的で基本となる品種です。短い毛が特徴で、手入れが比較的簡単なため初心者にも飼いやすい品種です。
- 毛の長さ:約2〜3cm
- 特徴:様々な毛色があり、単色のものや複数の色が混ざったものなど多様なバリエーションがある
- 性格:温和で扱いやすく、ペットとして人気が高い
- ケアの難易度:低(週に1〜2回のブラッシングで十分)
ペルビアン(ベルビアン)
長毛種の代表的な品種で、美しい長い毛が特徴です。見た目は美しいですが、毛のケアに手間がかかります。
- 毛の長さ:10〜20cm以上
- 特徴:体の後ろ側から長く伸びる毛が特徴的で、ショーモルモットとしても人気が高い
- 性格:おとなしい傾向だが、個体差がある
- ケアの難易度:高(毎日のブラッシングが必要で、定期的な毛のトリミングも推奨)
アビシニアン
渦巻き状の毛(ロゼット)が体全体に複数あるのが特徴的な品種です。独特の外観を持ち、個性的な見た目が魅力です。
- 毛の長さ:約3〜5cm
- 特徴:体中に8〜10個ほどの渦巻き状のロゼットがあり、凸凹した外観を持つ
- 性格:活発で好奇心旺盛な性格をしている個体が多い
- ケアの難易度:中(週に2〜3回のブラッシングが推奨)
テディ
アビシニアンから派生した品種で、短くて柔らかい毛が特徴です。その名のとおり、ぬいぐるみのようなふわふわとした見た目が人気です。
- 毛の長さ:約2~3cm
- 特徴:毛先が上を向いており、触り心地の良いふわふわとした質感が特徴
- 性格:穏やかで扱いやすい個体が多い
- ケアの難易度:中(週に1〜2回のブラッシングが必要)
クレステッド
頭の上に冠(クレスト)のような毛の渦巻きがあるのが特徴的な品種です。体の他の部分は短毛です。
- 毛の長さ:体は約2〜3cm、頭部のクレストはやや長め
- 特徴:頭の真ん中に特徴的な毛の渦がある
- 性格:温和で飼いやすいとされている
- ケアの難易度:低〜中(基本的なケアは簡単ですが、クレスト部分は注意が必要)
スキニーギニアピッグ
1970年代に実験用として開発された品種です。全身にほとんど毛がなく、しわのある肌が特徴です。
スキニーギニアピッグは皮膚が露出しているため、日焼けや傷、温度変化に敏感で、特別なケアが必要となります。専門知識を持った飼い主向けの品種といえるでしょう。
- 毛の有無:基本的には無毛(顔や足にわずかに毛がある場合もある)
- 特徴:皮膚が露出しているため、触り心地や見た目が他の品種とは大きく異なる
- 性格:他の品種と同様に温和だが、扱いには注意が必要
- ケアの難易度:高(皮膚の保護と温度管理に特別な配慮が必要)
モルモットの飼い方
モルモットを健康で幸せに飼育するためには、適切な環境づくりと日々のケアが欠かせません。
ここからは、モルモットの飼い方について解説していきます。
飼育に必要なもの
モルモットを飼育するためには、以下のものを用意する必要があります。
必要なアイテム |
特徴 |
---|---|
ケージ |
一頭あたり最低でも幅60cm×奥行き80cm程度が必要。プラスチックや木製の底面があるタイプが適している |
床材 |
ペットシーツ、木製チップ(杉やヒノキは避け、広葉樹のもの)ペレット、新聞紙が適している |
隠れ家 |
木製やプラスチック製の小さな家やトンネルなどを設置する |
給水器 |
ボトルタイプのものが清潔で使いやすい |
食器 |
重くて安定した陶器製やセラミック製が理想的 |
牧草入れ |
牧草を清潔に保ち、無駄なく与えるためのフィーダーがあると便利 |
温度計・湿度計 |
モルモットは温度変化に弱いため、環境をモニターする必要がある |
初期費用の目安は、基本的なケージセットで15,000〜30,000円程度、そのほかの消耗品を含めると総額で30,000〜50,000円程度かかることが一般的です。
用意する餌
モルモットの食事は主に以下の4種類で構成されます。
- 牧草
- モルモット専用ペレット
- 野菜・果物
- おやつ・サプリメント
モルモットの健康を守るためには、主食である牧草とペレット、副食としての野菜や果物をバランスよく組み合わせることが大切です。特にビタミンC不足には注意し、日々適切な食事管理を心がけましょう。
日常のケア
モルモットを健康に保つためには、日常的なケアが欠かせません。
- ケージの掃除(排泄物や食べ残しの除去、汚れた床材の部分交換を毎日行う。週に1〜2回は床材の全交換、ケージの消毒を行う)
- グルーミング(短毛種は週に1〜2回のブラッシング、長毛種は毎日のブラッシングと定期的なトリミングが必要)
- 爪切り(約1ヵ月に1回程度行う)
- 歯のチェック(週に1回程度行う)
- 体重測定(週に1回程度行う)
- 運動(毎日30分〜1時間程度、ケージの外で自由に動き回れる時間を設ける)
特に健康チェックと清潔保持は早期発見と病気予防につながるため、欠かさず行うことが重要です。
オス・メスの選び方/多頭飼い
モルモットは群れで生活する社会性の強い動物なので、基本的には複数で飼育することが理想的です。ただし、性別によって相性や注意点が異なります。
オスとメスの特徴は以下のとおりです。
性別 |
特徴 |
---|---|
オス |
やや大きく成長し、テリトリー意識が強い傾向がある。去勢していないオス同士は成長するとケンカをする可能性がある |
メス |
比較的穏やかな性格で、多頭飼いに適している。ただし、妊娠・出産のリスクがあるため、オスと一緒に飼う場合は注意が必要 |
多頭飼いの組み合わせとして、以下を知っておきましょう。
- メス同士:最も安定した組み合わせで、基本的には問題なく共存できる
- オスとメス:繁殖を避けるためにはオスの去勢が必要
- オス同士:幼い頃から一緒に育てると共存できる場合もありますが、成熟すると縄張り争いが起こる可能性が高いため注意が必要
モルモットを多頭飼いする場合は、個体それぞれに十分なスペースと食器、隠れ家を用意することが大切です。また、新しいモルモットを既存の群れに導入する際は、徐々に馴らしていくようにしましょう。
モルモットがかかりやすい病気
モルモットは比較的丈夫な動物ですが、いくつか特有の病気があります。以下にモルモットがかかりやすい病気を紹介します。
ビタミンC欠乏症
モルモットは人間と同様に体内でビタミンCを合成できません。そのため、食事から十分に摂取する必要があります。不足すると以下のような症状が現れます。
症状 |
食欲不振、体重減少、関節の腫れや痛み、歯ぐきの出血、毛並みの悪化、動きが鈍くなる など |
---|---|
予防法 |
ビタミンCが豊富な野菜(パプリカ、小松菜など)を毎日与える、モルモット用のビタミンC強化ペレットを使用する、必要に応じてビタミンCのサプリメントを与える など |
治療法 |
獣医師の指示のもと、ビタミンCの投与を行う。進行した場合は入院治療が必要になることもある |
不正咬合
モルモットの歯は一生伸び続けるため、適切に摩耗しないと過剰に伸びて不正咬合(歯の噛み合わせが正常でない状態)を起こします。
症状 |
食欲不振、よだれの増加、体重減少、口の周りが濡れている、食べ物をこぼす など |
---|---|
予防法 |
質の良い牧草を常に食べられる環境を整える、かじり木などの硬い食べ物を与える、定期的に歯の状態をチェックする など |
治療法 |
獣医師による歯の削り(トリミング)が必要となる。定期的なメンテナンスが必要な場合もある |
皮膚疾患
モルモットは皮膚病やダニ感染症などにかかりやすい傾向があります。特にモルモットズツキダニという寄生虫による感染症が知られています。
症状 |
かゆみ(体をこすりつける行動)、脱毛、皮膚の赤みや炎症、フケのような皮膚のかさぶた など |
---|---|
予防法 |
清潔な飼育環境を維持する、定期的にケージや床材を交換する、新しいモルモットを迎え入れる際は検疫期間を設ける など |
治療法 |
獣医師による診断と、適切な薬剤の処方が必要。自己判断での薬の使用は避ける |
膀胱炎・尿路結石
モルモットは尿路の問題を起こしやすい動物です。特にカルシウムの代謝に関連した膀胱結石などが発生することがあります。
症状 |
排尿時の痛みによる鳴き声、血尿、頻尿または排尿困難、お腹を痛がる など |
---|---|
予防法 |
常に新鮮な水を与える、カルシウム過多にならないよう食事のバランスに注意する、運動の機会を十分に与える など |
治療法 |
軽度であれば薬物療法、重度の場合は外科的処置が必要になることもある |
呼吸器疾患
モルモットは呼吸器が敏感で、風邪やカビによる肺炎などにかかりやすい傾向があります。
症状 |
くしゃみ、鼻水、呼吸困難、食欲不振、元気がない など |
---|---|
予防法 |
急激な温度変化を避け、適切な温湿度を維持する、ホコリの少ない床材を使用する、風通しの良い環境で飼育する など |
治療法 |
抗生物質などの投与が必要になることが多く、獣医師の指示に従った治療が必要 |
モルモットの飼育に向いている人・向いていない人
モルモットは以下のような方に特に適したペットといえるでしょう。
- 忙しい生活の中でもペットと触れ合いたい方
- アパートやマンションにお住まいの方
- 初めてペットを飼う方
- 鳴き声やしぐさでのコミュニケーションを楽しみたい方
ただし、以下のような方には不向きかもしれません。
- 長期の旅行や出張などで家を空けがちな方
- ペット特有の臭いや抜け毛に敏感な方
- 日常的に動物の世話に割ける時間がほとんどない方
- 静かな環境を好み、生活音にも敏感な方
モルモットを飼育する際の注意点
モルモットを健康に長く飼育するためには、いくつかの重要な注意点があります。
温度管理を徹底する
モルモットは温度変化に弱い動物です。適切な温度管理が健康維持に欠かせません。
理想的な温度は18〜24℃です。25℃以上の高温では熱中症のリスクがあり、15℃以下の低温は風邪や呼吸器系疾患を引き起こす可能性があります。
夏場は涼しい部屋で飼育し、必要に応じて冷却マットを使用しましょう。また冬場は保温対策として、厚めの床材や保温グッズを活用するのがおすすめです。
NG食材を把握しておく
モルモットに与えてはいけない食べ物があります。
絶対に与えてはいけないもの |
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---|---|
注意して与えるべきもの |
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適切な食事を与えることで、多くの健康問題を予防できます。不明な食材がある場合は、獣医師に相談するか、与えるのを控えましょう。
ストレスを与えないようにする
モルモットはストレスに弱い動物です。過度なストレスは免疫力の低下や様々な健康問題につながる可能性があります。
ストレスの原因となるものとしては、以下のようなものがあります。
- 突然の大きな音や振動
- 頻繁な環境の変化
- 狭すぎるケージ
- 社会的孤立(単独飼いの長期化)
- 不適切な取り扱い(無理やり抱きかかえるなど)
- 他のペットからの脅威(猫や犬など)
- 不適切な温湿度環境
ストレス軽減のためには、静かな環境を提供すること、十分な広さのケージと隠れ場所を用意することなどが大切です。
モルモットのストレスサインとしては、隠れがちになる、食欲不振、過度の警戒心、異常な鳴き声などがあります。こうした兆候が見られたら、ストレスの原因を探して取り除くよう努めましょう。
モルモットの飼育に関するよくある質問
モルモットの飼育に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q: モルモットはなつくの?
A: はい、モルモットは基本的に人になつく動物です。毎日優しく話しかけたり、手から餌を与えたりすることで信頼関係を築けます。なつくまでの期間は個体差がありますが、概ね2週間〜1ヵ月程度です。
Q: モルモットの子育ては難しい?
A: モルモットの赤ちゃんは生まれたときから毛が生え、目も開いており、自分で歩けるため、比較的育てやすいです。ただし、繁殖には注意点があり、特に生後4ヵ月以上のメスの初産は難産のリスクがあります。また、オスは生後3週間、メスは4〜5週間で性成熟するため、早めの分離が必要です。
Q: モルモットの臭いは強い?
A: 適切な飼育環境を維持していれば、モルモットの臭いはそれほど強くありません。毎日の部分清掃と週1〜2回の大掃除、吸収性の高い床材の使用、適切な換気で臭いを抑えられます。臭いが急に強くなった場合は、健康問題の可能性もあるため注意しましょう。
Q: モルモットは留守番できる?
A: モルモットは日中の仕事や学校など、8〜10時間程度の留守番であれば問題ありません。十分な量の牧草と水を用意し、適切な温度管理された環境に置いておけば大丈夫です。ただし、2日以上の留守番は避け、長期の不在時はペットシッターやペットホテルの利用を検討しましょう。
まとめ
モルモットは温和な性格と愛らしい姿で、初心者でも飼いやすい小動物です。適切な環境、バランスの良い食事、日常的なケア、定期的な健康チェックを心がけることで、モルモットは5〜7年という寿命の間、健康で幸せに暮らすことができます。
また、社会性のある動物なので、可能であれば複数で飼育することや、毎日十分な触れ合いの時間を設けることも大切です。
正しい知識と愛情を持って接することで、モルモットはかけがえのない家族の一員として、あなたに多くの癒しと喜びをもたらしてくれるでしょう。