ニホンザルの特徴とは?社会性や子育てについて解説
2026.06.10
- 目次
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- ニホンザルとは?知っておきたい基本情報
- ニホンザルはどんな生き物?
- ニホンザルの見た目の特徴
- ニホンザルの生息地と暮らし方
- ニホンザルと似たアカゲザルとの違い
- ニホンザルの大きな特徴は「群れで生きる社会性」
- ニホンザルはメスと子どもを中心に群れをつくる
- 群れのなかでは毛づくろいで関係をつくる
- 群れのなかには序列がある
- ニホンザルの子育てにはどんな特徴がある?
- 母ザルが中心になって子どもを育てる
- 子ザルは他のサルと関わりながら育つ
- 育児放棄が起きることもある
- 人間の暮らしとニホンザルの関わり
- 観光地や動物園で親しまれるニホンザル
- 野生のニホンザルによる生活被害
- 人に似た行動をしても、人間と同じではない
- ニホンザルについてのよくある質問
- ニホンザルはペットにできる?
- ニホンザルはなぜ温泉に入るの?
- ニホンザルは人にとって危険?
- まとめ|ニホンザルの特徴を知って人と動物の違いを考えてみよう
赤い顔や赤いおしり、仲間と群れで暮らす姿が印象的なニホンザル。二本足で歩く姿や母ザルが子ザルを育てる様子を見て、「かわいい」「人間みたい」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。一方で、人間の感情やルールをそのまま当てはめて考えると、行動の意味を誤って受け取ってしまうことがあります。
本記事では、ニホンザルの特徴を見た目・暮らし・群れの社会性・子育ての面から整理し、野生動物としての姿をわかりやすく解説します。ニホンザルの行動の背景を知って、観察のための知識を深めてみましょう。
ニホンザルとは?知っておきたい基本情報

ニホンザルは、日本に住む代表的なサルの仲間です。まずは分類やすみか、食べ物、暮らし方など、基本となる情報から見ていきましょう。
ニホンザルはどんな生き物?
ニホンザルは、霊長目オナガザル科に分類される動物です。霊長目とは、サルやヒトを含むグループのことで、手を使って物をつかむことができる動物が多く含まれています。
ニホンザルの基本情報を、表で整理してみました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 霊長目オナガザル科マカク属 |
| 生息地 | 本州・四国・九州などの森林や山地 |
| 見た目の特徴 | 赤い顔・赤いおしり |
| 食べ物 | 果実・種子・昆虫などを食べる雑食性 |
| 活動時間 | 朝から日暮れまで |
| 暮らし方 | 群れをつくって集団で生活 |
| 寿命 | 野生では約25年、飼育下では約30年 |
ニホンザルの見た目の特徴
ニホンザルの見た目でとくに印象的なのは、顔やおしりの赤みです。顔とおしりには毛が少なく、皮膚の色が見えやすいので赤く見えます。とくに大人のサルでは、この赤みが目立つことがあります。
体毛は茶褐色から灰色がかった色で、地域や季節によって見え方が変わります。冬は寒さに備えて毛が長く厚くなり、ふさふさした印象になります。春から夏にかけては毛が生え替わり、冬よりもすっきりした姿になります。
しっぽが短いことも、ニホンザルの大きな特徴です。他のサルにはしっぽの長い種類もいますが、ニホンザルのしっぽはあまり目立ちません。
体の大きさは、オスのほうがメスより大きくなる傾向があります。ただし、年齢や栄養状態、地域によっても差があるため、見た目だけで正確に判断するのは難しい場合もあります。
ニホンザルの生息地と暮らし方
ニホンザルは、本州・四国・九州など日本の広い地域に分布しています。森林や山地を中心に暮らしますが、雪のなかで過ごす姿が知られているように、比較的寒い地域にも住むことができます。
活動するのは主に昼間です。朝から日暮れまでのあいだに、食べ物を探したり、移動したり、休んだりして過ごします。夜は決まった巣を持つわけではなく、その日の状況に合わせて安全な場所で休みます。
行動する範囲は、食べ物の量やすみかの環境によって変わります。ひとつの場所にずっといるのではなく、群れで一定の範囲を移動しながら、その季節に食べられるものを探して暮らしています。
ニホンザルと似たアカゲザルとの違い
ニホンザルと見た目が似ている動物として、アカゲザルが挙げられることがあります。この両者の違いを、比較表にまとめました。
| 項目 | ニホンザル | アカゲザル |
|---|---|---|
| 分類 | 霊長目オナガザル科マカク属 | 霊長目オナガザル科マカク属 |
| 生息地 | 日本(本州・四国・九州) | 南アジア、東南アジア、中央アジア |
| 見た目の特徴 | 赤い顔・赤いおしり | 赤い顔・赤いおしり |
| しっぽの長さ | 10cm前後 | 20~30cm程度 |
| 暮らし方 | 群れで暮らす | 群れで暮らす |
生息地としっぽの長さ以外は、いずれもよく似ています。ただし、日本国内にいるアカゲザルは、もともとは日本に住んでいなかった外来種となり、本来は別のサルであることを押さえておきましょう。
ニホンザルの大きな特徴は「群れで生きる社会性」

ニホンザルを理解するうえで欠かせないのが、群れでの暮らし方です。群れはどのように成り立っているのか、詳しく見ていきましょう。
ニホンザルはメスと子どもを中心に群れをつくる
ニホンザルは、複数の個体が集まった群れで生活します。群れの大きさは地域や環境によってさまざまで、10数頭ほどの群れもあれば、100頭を超える場合もあります。
群れの中心になるのは、主にメスとその子どもたちです。メスは生まれた群れに残って暮らすことが多く、母親、娘、その子どもというように、血のつながりのあるメス同士の関係が続いていきます。
一方、オスは成長すると生まれた群れを離れることがあります。単独で行動したり、別の群れに入ったりしながら暮らすことがあり、メスとは違う形で群れと関わります。
子どもは母親の近くで育ち、まわりのサルたちの行動を見ながら群れのルールを少しずつ覚えていくことになります。
群れのなかでは毛づくろいで関係をつくる
ニホンザルの群れでよく見られる行動のひとつが、仲間の毛をかき分けて汚れを取り除く「毛づくろい(グルーミング)」です。
一見すると体をきれいにしているだけのように見えますが、ニホンザルにとって毛づくろいは仲間との関係をつくる大切な時間でもあります。相手に近づき、体をさわりながら時間を共有することで、親しい関係を保ちやすくなります。人間でいうあいさつやスキンシップに近い役割を持つともいえます。
また、毛づくろいは緊張をやわらげる行動としても注目されています。毛づくろいを受けたあとや、親しい相手に毛づくろいをしたあとに、不安を示す行動が少なくなることが研究からわかっています。
ニホンザルの群れでは、食べることや移動することと同じように、仲間との関係づくりも大切です。毛づくろいは、その関係を支える基本的なコミュニケーションといえます。
群れのなかには序列がある
ニホンザルの群れには、個体同士の序列があります。序列とは、どちらが先に食べ物を取るかなど、限られたものをめぐる場面で表れる上下関係のようなものです。
序列というと、強いサルがいつも争っている様子を想像するかもしれません。しかし、実際には上下関係があることで、むやみな争いを減らす面もあります。どちらが先に食べるのかがある程度決まっていると、毎回けんかをしなくてもすむ場合があるのです。
「ボス猿」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。ただし、人間が思い浮かべるような絶対的なリーダーが、群れをまとめているわけではないようです。食べ物などを優先してもらえる存在、と考えるとよいでしょう。
一方で、メスが群れの第1位になった珍しい例もあるようです。ニホンザルたちの関係は、個体の年齢や血縁関係、日ごろの関わりが重なり合いながらつくられています。
ニホンザルの子育てにはどんな特徴がある?

ニホンザルの子育ては、主に母ザルが中心になって行います。子ザルは母親に守られながら成長し、やがて群れの仲間との関わりを広げていきます。
母ザルが中心になって子どもを育てる
ニホンザルは、主に春から秋ごろに1頭の子を産みます。生まれたばかりの子ザルはとても小さく、生後すぐは自分で歩くことができません。しばらくは母乳を飲みながら、母ザルのそばで成長していきます。
子ザルは母ザルに抱えられたり、体にしがみついたりして過ごします。母ザルにつかまっていることで子ザルは体を動かす力を育て、安心して過ごす支えを得られます。
母ザルがそばで守り、世話をすることは、子ザルが群れのなかで育っていくうえで大きな意味があります。ニホンザルの群れは母ザルと子どもたちのつながりを中心に成り立っており、母ザルとの関係が、子ザルにとって最初のよりどころになるためです。
子ザルは他のサルと関わりながら育つ
少し成長すると、同じくらいの年齢の子ザル同士で遊ぶようになります。追いかけ合ったり、じゃれ合ったりする遊びは、体の使い方や仲間との関わり方を覚える機会にもなります。
群れのなかでは、メスの子ザルが赤ちゃんザルに関心を示すことがあります。赤ちゃんに近づいたり、毛づくろいをしたりする行動は、子育てを手伝うように見えることもあります。
オスは基本的に子育てにはかかわりません。ただし、母ザルを失った子ザルに対して、気にかけるような行動をする場合もあります。そうした子ザルたちが、オスのまわりに集まり、寒い時期に身を寄せて温め合う「サル団子」を作ることもあります。
子ザルは遊びや接触を通して、相手に近づきすぎるとどうなるのか、どんな行動が受け入れられるのかを学んでいきます。そうした積み重ねが、群れで暮らす力につながります。
育児放棄が起きることもある
ニホンザルの子育てでは、育児放棄が起きることもあります。育児放棄とは、母ザルが子どもの世話をしないことです。
原因はひとつではなく、初めての出産でどのように世話をすればよいのかわからないことや、母体の健康状態、暑さなどの環境ストレスが関わる場合があります。
育児放棄が起きた場合、動物園では、飼育員が子ザルを人工哺育で育てることがあります。人工哺育とは、人の手でミルクを与えたり、体温や体調を管理したりしながら育てる方法です。小さな命を守るためには、細やかな観察と世話が欠かせません。
実際の例として、千葉県市川市にある市川市動植物園で暮らす「パンチ」くんがいます。誕生直後に母ザルが育児放棄したため、飼育員による人工哺育で育てられました。母親代わりのオランウータンのぬいぐるみを抱きしめながら懸命に生きるその姿はSNSなどで広く話題となり、国内外から多くの応援の声が寄せられています。
ニホンザルは群れで生きる動物です。そのため、人工哺育で育った子ザルには、同じニホンザルの群れになじんでいくための配慮も必要になります。育ったらいきなり群れに入れるのではなく、少しずつ群れに慣らしてほかのサルと関われるようにするなど、段階を踏むことが求められます。
人間の暮らしとニホンザルの関わり

ニホンザルは、動物園や観光地で親しまれる一方で、野生では人の暮らしと近づきすぎることで問題が起きることもあります。人とニホンザルの適切な距離について考えることが大切です。
観光地や動物園で親しまれるニホンザル
ニホンザルは、動物園や野猿公苑などで会える身近な野生動物のひとつです。群れで過ごす様子や親子の姿、毛づくろいをする行動などを近くで観察することで、サルの社会をかいま見ることができます。
とくに、温泉に入るニホンザルはよく知られています。寒い地域で湯につかる姿は印象的で、観光資源としても多くの人の関心を集めています。湯に入りながら目を閉じてじっとしている様子や仲間同士で身を寄せ合う姿を見ようと、多くの観光客が訪れます。
動物園では、解説板や飼育員の話を通じて、見た目だけではわからない行動の意味を知ることができます。毛づくろいをしている、子ザルが遊んでいる、少し離れて座っているといった何気ない場面にも、サル同士の関係性があらわれていることがあります。
観察するときは、かわいさを楽しむと同時に「なぜその行動をしているのだろう」と考えてみると、ニホンザルへの理解が深まるでしょう。
野生のニホンザルによる生活被害
野生のニホンザルは、食べ物を求めて人里に現れることがあります。山の食べ物が少ない時期や、人の近くに食べ物があると覚えた場合、農地や住宅地に近づくことがあります。
農作物や生ごみの味を覚えると、同じ場所に繰り返し出没することがあります。ニホンザルは群れで行動するため、複数のサルが一度に現れ、被害が広がる場合もあります。畑の作物を食べたり、庭先やごみ置き場を荒らしたりすることが、地域の人の不安につながることがあります。
人にとっては困った出来事ですが、ニホンザルにとっては食べ物を探す自然な行動の結果です。そのため、人の食べ物を覚えさせないことが重要になります。生ごみを外に置きっぱなしにしない、農作物を守る工夫をする、見かけてもエサを与えないといった対応が、人とサルの距離を保つことにつながります。
人も野生動物も無用に傷つかないよう、適切な距離を保つ視点が大切です。
人に似た行動をしても、人間と同じではない
ニホンザルは、子どもを抱く、仲間と毛づくろいをする、表情豊かに見えるしぐさをするなど、人に近いと感じられる行動を見せます。そのため、私たちはつい人間の感情に当てはめて考えたくなります。
しかし、ニホンザルの行動の基準は、人間の気持ちや社会のルールとは異なります。仲間との関係、食べ物、危険への警戒、子どもを守る本能など、サルとしての理由で行動しています。人間に近い仕草を見せるものの、野生動物特有の身体能力や強い警戒心を持っています。
野生のニホンザルを見かけたときは、近づいたり、エサを与えたり、目を合わせようとしたりしないようにしましょう。子ザルが近くにいる場合、母ザルや群れが警戒することもあります。写真を撮りたい気持ちがあっても、距離を保つことが大切です。
人に似ているからこそ、その違いを知ることが、ニホンザルへの理解を深める手がかりになります。
ニホンザルについてのよくある質問

ここでは、ニホンザルについて多くの人が気になりやすい疑問を取り上げます。ニホンザルの知識をより深めましょう。
ニホンザルはペットにできる?
ニホンザルは、一般家庭で気軽にペットとして飼える動物ではありません。ニホンザルは人に危害を加えるおそれがある動物として扱われる「特定動物」に含まれ、現在は愛玩目的で新しく飼い始めることは原則としてできません。
令和2年より前に許可を受けていた場合など、もともとニホンザルを飼っていた人が条件によって飼い続けられる場合はありますが、一般的にはペットにできないと考えてよいでしょう。
猿回しなどで飼育されているニホンザルも、法令に基づいた管理や許可のもとで飼われています。力が強く、歯も鋭く、成長すると人が扱うには危険が伴うため、専門的な知識と設備が必要です。
ニホンザルはなぜ温泉に入るの?
ニホンザルが温泉に入る理由のひとつは、寒さをしのぐためです。雪が積もるような寒冷地では、温かい湯につかることで体を温めることができます。夏場に温泉に入る姿があまり見られないのも、この寒さとの関係によるものと考えられています。
また、温泉につかることでニホンザルがストレスをやわらげていることが研究によりわかっています。
「湯冷めしないの?」と気になる人もいるでしょう。ニホンザルの毛は体を守る役割を持っているため、湯から上がるときに体をふるわせることで毛の水分を切ることができ、人間ほど湯冷めをしにくいとされています。温泉に入る姿からは、寒い環境で生きるための工夫が見えてきます。
ニホンザルは人にとって危険?
ニホンザルは、理由もなく人を襲う動物ではありません。しかし、野生動物である以上、近づき方を間違えると危険につながることがあります。
人里に出てくる背景には、食べ物を求めていることや、餌付けによって人を怖がらなくなっていることが関わる場合があります。人の食べ物を覚えると、住宅地や観光地に近づきやすくなり、人とのトラブルが起きやすくなります。
とくに、子ザルが近くにいるときは注意が必要です。母ザルや群れが子どもを守ろうとして警戒することがあります。かわいいからといって近づいたり、手を伸ばしたりすると、サルにとっては脅かされたように感じられるかもしれません。
ニホンザルを見かけたら、エサを与えず、刺激せず、静かに距離を取りましょう。目をじっと見続ける、追い払おうとして大声を出す、写真を撮るために近づくといった行動は避けることが大切です。
まとめ|ニホンザルの特徴を知って人と動物の違いを考えてみよう

ニホンザルには、赤い顔や短い尾といった見た目の特徴があり、群れのなかで仲間と関わりながら暮らしています。母ザルを中心とした子育てや、毛づくろいによるコミュニケーションなど、人に近く感じられる行動もたくさんあります。
その一方で、ニホンザルは人間と同じ考え方で行動しているわけではありません。かわいらしく見えるしぐさにも、野生動物としての理由があります。そうした特徴を知ることは、その動物らしさを尊重することにつながります。
ニホンザルの社会性や子育てに関心を持った人は、その興味を入り口に、野生動物の保全や、動物に関わる仕事にも目を向けてみませんか。TCA東京ECO動物海洋専門学校には、動物園・動物飼育専攻、動物海洋テーマパークプロデュース専攻、水族館・動物園看護師専攻、動物総合イベント企画専攻など、動物への興味を、学びや将来の仕事へつなげられる専攻があります。
ニホンザルへの興味をもとに、動物についての学びをさらに深めていきましょう。