ミーアキャットって飼えるの?性格・飼い方・注意点までわかりやすく解説!
2025.10.03
背筋を伸ばして立ち、きょろきょろと周囲を見渡す姿が特徴的なミーアキャット。テレビや動物園でその可愛らしいしぐさを見て、「ペットとして飼ってみたい」と思った方もいるのではないでしょうか。
しかし、ミーアキャットは犬や猫のように身近で飼いやすい動物ではなく、飼育の難易度は高めです。飼うことを考えるなら、生態や習性、必要な環境についてあらかじめ学んでおくことが大切です。必要な知識を身につけることで、ミーアキャットへの理解が深まり、その魅力もより感じやすくなります。
本記事では、ミーアキャットの性格や生態、日本での飼育事情、必要な飼育環境、餌の与え方や健康管理のポイントまでわかりやすく解説します。飼育を検討している方はもちろん、動物好きで知識を深めたい方にも役立つ内容です。
ミーアキャットの基本情報

ここでは、ミーアキャットの基本情報を紹介します。野生での生態や体の特徴を知ることで、飼育が難しい理由や彼らの魅力をより理解できます。
ミーアキャットは「猫」の仲間?
名前に「キャット」とついていますが、実は猫の仲間ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Suricata suricatta |
| 分類 | 哺乳綱 食肉目 マングース科 スリカータ属 |
| 英語名 | meerkat |
分類学的にはマングースの仲間であり、体のつくりや暮らし方も大きく異なります。名前の由来には諸説ありますが、オランダ語で「湖」を意味する「meer」と、「猿」を意味する「kat」が組み合わさったという説もあります。
見た目の特徴
小柄で細身の体を持ち、後ろ足と尾を使って立ち上がる姿はミーアキャットならではのものです。きょろきょろと周囲を見渡すしぐさには、仲間を守ろうとする警戒心や、群れで暮らす社会性が表れています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体長 | 約25~35cm |
| 体重 | 約600g~1kg |
| 体色 | ベージュや黄褐色で、背中には灰色や茶色の横縞模様 |
| 顔 | 目の周りと耳が黒く、この黒い部分が太陽の光を遮るサングラスのような役割を果たす |
| 尾 | 20~25cmの長い尾を持ち、立つときにバランスを取る |
前足には鋭い爪があり、掘る動作に適した形をしています。巣穴を掘って生活の拠点を作るほか、地中の昆虫や小動物を捕らえるときにも役立ちます。
生息地と野生での暮らし
ミーアキャットはアフリカ南部の乾燥地帯に生息しています。特にナミビア、ボツワナ、南アフリカ共和国などの砂漠やサバンナに多く見られます。過酷な環境で暮らすため、群れの仲間と協力しながら生きる知恵を発達させてきました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 群れ | 数頭から10~30頭ほどの群れで暮らし、仲間同士で協力し合う |
| 見張り | 交代制で直立し、猛禽類などの天敵を警戒。危険を鳴き声で仲間に知らせる |
| 子育て | 群れ全体で子育てを行い、子どもに餌の取り方や身の守り方を教える |
| 昼行性 | 朝は日光浴で体を温め、昼間に活動。暑い時間帯は巣穴で休む |
| 巣穴 | 地下に複雑なトンネルを掘り、部屋や複数の出入口を作って安全に暮らす |
このように群れで協力する高い社交性を持つことで、野生の中でも生き延びることができるのです。群れの一体感はとても強く、見張り役や子育て役などを分担しながら生活する姿は、人間社会とも通じる部分があり、多くの人を惹きつけています。
食性
ミーアキャットは雑食性の動物です。乾燥地帯という厳しい環境に適応するため、肉や昆虫だけでなく植物も取り入れながら栄養を確保しています。野生では、コオロギやバッタなどの昆虫類をはじめ、クモ、サソリ、多足類、爬虫類、小鳥の卵や小型哺乳類、さらに植物の根や果実など、さまざまなものを食べています。
餌を探すときは鋭い嗅覚を使い、地面を掘って探し出します。昆虫やサソリを捕まえる姿からは、自然の中で生き抜く力強さがよくわかります。
プレーリードッグとの違い
ミーアキャットはその立ち姿から、よくプレーリードッグと混同されがちです。どちらも後ろ足で直立して周囲を警戒する姿が有名ですが、分類や暮らし方には大きな違いがあります。
- プレーリードッグ:リスの仲間で、主に北アメリカの草原地帯に生息している。地下に大規模なトンネルを掘って定住している。
- ミーアキャット:マングースの仲間で、アフリカ南部の乾燥地帯に生息している。アリ塚や岩のすき間を利用することもあり、餌を求めて移動するため、定住性はあまり強くない。
見た目が似ているため同じ動物に見えることもありますが、系統や生態はまったく異なります。違いを知ることで、それぞれの動物が持つ魅力をより深く理解できるでしょう。
ミーアキャットは飼える?日本での飼育事情

見た目のかわいらしさで動物園やテレビ番組などで人気のある動物ですが、「実際に日本で飼うことはできるの?」と気になる方も多いでしょう。ここでは日本での飼育事情や注意点について紹介します。
ミーアキャットは日本では特定外来生物や愛玩動物規制法の対象ではないため、ペットとして飼育すること自体は可能です。法律で禁止されているわけではありません。
ただし、次のような点から飼育の難易度は非常に高いといえます。
- 野生では群れで生活するため、1匹で飼うとストレスがたまりやすい
- 昼行性かつ活動的で、広いスペースや環境が必要
- 穴を掘る習性があるため、家庭内での飼育環境づくりが難しくなる
- 鳴き声が大きかったり、ニオイが強く感じられることもある
- 診察できる動物病院が限られている
また、ミーアキャットはエキゾチックアニマル※に分類されるため、犬や猫のような一般的な飼育マニュアルや相談窓口(獣医・専門書・情報サイトなど)はほとんど整っていません。飼育を始めるのであれば、専門知識を身につけ、適切な環境を整えたうえで、十分な準備をし、責任を持つことが求められます。
※エキゾチックアニマルとは、犬や猫のように一般的ではない、珍しい動物のことを指します。
ミーアキャットの値段と入手方法

ミーアキャットを飼いたいと考えるとき、気になるのが価格や入手ルートです。犬や猫のように比較的入手しやすい動物とは異なり、ミーアキャットを取り扱う場所は限られています。そのため、購入を検討する際には事前にしっかりと情報を集めておく必要があります。
価格相場
ミーアキャットの販売価格は、一般的に20~40万円ほどといわれています。年齢や性別、飼育環境への慣れ具合によって値段が変動することもあります。
子どもの個体はやや高めに設定される傾向があり、ペアでの購入を希望する場合はさらに費用がかかります。
入手方法
ミーアキャットは一部のペットショップで取り扱われていますが、店舗数は限られています。特にエキゾチックアニマルを専門に扱うショップでは、ミーアキャットを取り扱っている場合があります。
ショップに足を運ぶだけでなく、ペットショップがオンラインで公開している情報を確認するとよいでしょう。さらに、国内では数は少ないものの、ブリーダーが繁殖させて販売しているケースもあります。
購入の際は価格だけで判断せず、健康状態や販売元の信頼性を重視することが大切です。エキゾチックアニマルは飼育環境やストレスの影響を受けやすいため、販売元の評判や実績を事前に確認しておくことで、より安心して迎え入れられるでしょう。
ミーアキャットの飼育に必要な環境は?

ミーアキャットを健康に育てるためには、野生での習性を意識した環境づくりが欠かせません。ここでは、飼育に必要な基本的なアイテムと整え方のポイントを解説します。
飼育ケージ
ミーアキャットは活動的で、立ち上がったり動き回ったりする習性があります。十分な広さと高さを確保でき、頑丈なケージを用意しましょう。目安としては幅70〜80cm以上あるものが推奨されています。金属製のケージは噛んでも壊れにくく、掃除もしやすいためおすすめです。脱走防止の工夫も必要です。
ヒーター
野生では温暖な南アフリカなどに生息しているため、寒さには弱い動物です。冬場はケージ内を暖めるヒーターを設置しましょう。コードをかじられないよう、カバーをつけるなどの工夫も欠かせません。
床材
ミーアキャットには穴を掘る習慣があるため、床材にはウッドチップや動物用の遊び砂、干し草などを敷くと自然な行動を促すことができます。掘る動作はストレス発散にもつながります。
寝具
野生では巣穴で眠るため、体を包み込むようなベッドやハンモックを用意すると安心しやすいでしょう。柔らかい布製の寝袋タイプもおすすめです。
餌皿
特別なものでなく、一般的なペット用の餌皿で十分です。転倒防止のため、安定感のあるものを選ぶとよいでしょう。
給水ボトル
お皿に水を入れると汚れやすいため、給水ボトルを使うのが衛生的です。取り付け位置を調整し、いつでも水が飲めるように設置しましょう。
餌の与え方

ミーアキャットは雑食性の動物で、野生では昆虫や小動物、果実や根など、さまざまなものを食べています。家庭で飼育する場合も、動物性の餌と植物性の餌をバランスよく与えることが大切です。
- 動物性の餌:専用フード、ドッグフード、ミルワーム、鶏肉など
- 植物性の餌:リンゴ、サツマイモ、小松菜など
昆虫や肉などの動物性の餌は、たんぱく源として重要です。ただし、それだけに偏ってしまうと栄養バランスが崩れやすいため、野菜や果物などの植物性の餌も組み合わせて与えるよう意識しましょう。
また、餌を与える際には次のポイントにも注意しましょう。
- 与える量は体格や年齢に応じて調整する
- 腐敗しやすい餌は放置せず、食べ残しは片付ける
- 偏食を防ぐために、できるだけ多様な食材をローテーションで与える
このように、栄養のバランスや衛生管理に気を配ることで、ミーアキャットが健康に育つ環境を整えられます。
温度管理について

ミーアキャットは南アフリカなどの温暖な地域に生息しているため、寒さに弱い動物です。飼育下では室温を25~28℃程度に保つことが理想とされています。
冬場はヒーターや暖房を利用して十分に温め、逆に夏場は30℃を超えないようにエアコンで室温を調整しましょう。特に直射日光の当たる部屋や風通しの悪い場所では、室温が急激に変化するため注意が必要です。
また、温度管理は1日の変化にも気を配ることが大切です。急な寒暖差は体調不良につながるため、常に安定した環境を整えてあげましょう。温湿度計を設置して、客観的に確認しながら管理すると安心です。
ミーアキャットの寿命と健康管理

ミーアキャットの寿命は野生下では5〜10年ですが、飼育下では10〜15年ほどといわれています。適切な環境や餌、十分な健康管理を行うことで、より長く一緒に暮らせる可能性が高くなります。
ただし、犬や猫と違って診察できる動物病院は限られています。ミーアキャットを専門的に診られる病院をあらかじめ調べておくことが大切です。
健康管理のポイントは以下のとおりです。
- 定期的に健康診断を受ける
- 体重や食欲、排泄の状態を日々チェックする
- 温度や衛生管理を徹底し、ストレスの少ない環境を保つ
特にストレスや温度変化は体調不良の原因になりやすいため、毎日の観察を欠かさないことが重要です。
ミーアキャットに関するよくある疑問

ミーアキャットを飼うにあたって、鳴き声やニオイ、散歩など日常生活に関わる疑問を持つ方は多いでしょう。ここでは、よくある質問とその答えを紹介します。
ミーアキャットはどんな鳴き声を出しますか?
「キャンキャン」「ワンワン」といった、犬のような高めの声で鳴くことがあります。仲間に危険を知らせたり、コミュニケーションをとったりするために鳴き声を使い分けており、社会性の強さがうかがえます。
ニオイはありますか?
縄張りを示すマーキングのほか、皮脂や汗、便のニオイが気になることがあります。特にオスは発情期にニオイが強くなる傾向があります。定期的に掃除をし、通気性のよい環境を整えることで軽減できます。
トイレのしつけはできますか?
犬や猫のように完全にトイレを覚えさせるのは難しいでしょう。ある程度できれば十分と考えましょう。決まった場所にトイレを設置すれば習慣づけやすくなります。
お散歩はできますか?リードは必要?
散歩は可能ですが、必ずしも外で運動させる必要はありません。室内で自由に遊べるスペースを確保すれば十分です。外に出す場合は必ずハーネスとリードを装着し、事故や逃走のリスクに備えましょう。
まとめ|ミーアキャットの飼育にはしっかり準備を

ミーアキャットは、背筋を伸ばして立つ姿や仲間同士で助け合う社会性など、見ているだけでも魅力にあふれる動物です。しかし、ペットとして一緒に暮らすことを考えると、その可愛らしさだけでなく、飼育の難しさにも目を向ける必要があります。
温度管理や広めの飼育スペース、雑食性に合ったバランスの良い食事、そして定期的な健康管理は、どれも欠かせません。加えて、診療可能な動物病院が限られていることや、群れで生活する習性からくるストレスなど、あらかじめ理解しておくべきポイントも数多くあります。
もし飼育を検討するなら、まずは情報を集め、十分な準備を整えることが大切です。そのうえで責任を持ち、ミーアキャットが安心して暮らせる環境を作ってあげましょう。知識を深めてから向き合えば、より豊かな関わりが生まれるはずです。