犬のしつけ・訓練を通して、人と犬との懸け橋となるドッグトレーナー。犬好きの人なら一度は憧れを抱いたことがあるかもしれません。
しかし、いざドッグトレーナーを目指すとなると、どうすればよいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、ドッグトレーナーになる方法や、その仕事内容、やりがい、就職先や年収など、ドッグトレーナーになるために知っておきたい情報をまとめました。
記事の概要
ドッグトレーナーとは?
ドッグトレーナーとは、犬にしつけや訓練を施す職業のこと。人間と犬がお互いに快適な共同生活を送るために欠かせない仕事です。ドッグトレーナーは、主にペットとして飼われている家庭犬のしつけを行う職業を指します。
しつけといっても、全ての犬に同じような厳しい訓練を行うわけではありません。仕事内容は、トイレや「おすわり」「待て」などの基本のしつけから、噛み癖や吠え癖など問題行動の矯正、芸を教えるなど飼い主さんのニーズによりさまざまです。飼い主さんの希望によっては、ドッグスポーツの訓練や、高等訓練を行うこともあるでしょう。
それと同時に、飼い主さんに対し、犬との接し方やしつけ方法のアドバイスを行うのも大切な仕事です。 また、盲導犬や介助犬、警察犬など、人のために使命を持って働く使役犬の訓練を行う職業もドッグトレーナーです。
犬種や犬の性格に合わせたトレーニングを行うため、ドッグトレーナーには豊富な知識と高いスキルが求められます。
ドッグトレーナーの種類
ドッグトレーナーは、教える犬種やトレーニング内容の違いから、次のような種類に分類することができます。
- 家庭犬トレーナー…ペットとして飼われている家庭犬のしつけを行います。
- タレント犬トレーナー…テレビなどで活躍するタレント犬のしつけを行います。
- 介助犬トレーナー…身体障害者の介助を行う介助犬訓練と利用者指導を行います。
- 盲導犬トレーナー…視覚障害者の目となり生活の手助けを行う盲導犬の訓練を行います。
- 聴導犬トレーナー…聴覚障害者の耳代わりとなり周囲の音を知らせる聴導犬の訓練を行います。
- 警察犬トレーナー…臭いで犯人の捜索や追跡を行う警察犬の訓練を行います。
- 災害救助犬トレーナー…生き埋めになった人などを探し出す災害救助犬の訓練を行います。
- 空港検疫犬トレーナー…空港で不審な物体の持ち込みがないか確認する検疫犬の訓練を行います。
- 麻薬探知犬トレーナー…臭いで麻薬を見つけ出す麻薬探知犬の訓練を行います。
- 爆発物探知犬トレーナー…爆発物を見つけだす爆発物探知犬の訓練を行います。
介助犬や警察犬、災害救助犬など社会のために働く使役犬のドッグトレーナーは、犬の訓練士と呼ばれる場合もあります。
また、空港検疫犬や麻薬探知犬、爆発物探知犬などを扱うのは探知犬ハンドラーとも呼ばれています。
ドッグトレーナーと犬の訓練士、探知犬ハンドラーとの違い
犬のトレーニングを行う仕事の中には、訓練士や探知犬ハンドラーという職業もあります。ドッグトレーナーとの違いはなんでしょうか?
犬の訓練士は、介助犬や盲導犬、警察犬など人の助けとなり社会のために働く使役犬の訓練を行うのが仕事。家庭犬のトレーナーと違い、役割を果たすために必要な技能を身につけさせるための特殊な訓練を行います。
探知犬ハンドラーは、空港で活躍する検疫探知犬・麻薬探知犬の育成を行うのが仕事です。麻薬探知犬は、国内では唯一、東京税関監視部麻薬探知犬訓練センターで育成・訓練を実施しています。
犬の訓練士も、探知犬ハンドラーも、どちらも犬のしつけを行う仕事であり、ドッグトレーナーであることには違いありません。
しかし、ペットとして飼われている家庭犬のしつけを行うドッグトレーナーとは、しつけ内容や求められる技術が変わってくるため、区別のために「犬の訓練士」「探知犬ハンドラー」と呼ばれる場合もあります。
ドッグトレーナーの仕事内容は?1日の生活を紹介
ドッグトレーナーは、食事やトイレなど人と生活していくうえで必要な最低限のルールを犬に教える仕事です。
また、犬によってできることに差があるため、無駄吠えや威嚇などの問題行動があるか見極める必要があります。問題行動が見つかった場合は、どのレベルまで改善していくのかを、あらかじめ飼い主さんとすり合わせていくことも必要です。
ほかにも、犬の扱い方に不慣れな飼い主さんのサポートも重要な仕事です。ドッグトレーナーと飼い主さんのしつけが異なると、犬は混乱してしまいます。しつけが定着しなかったり犬のストレスの原因になったりするため、飼い主さんへの指導も的確に行うことが大切です。
ここからは、しつけ教室で働くドッグトレーナーの仕事内容や1日の生活を見ていきましょう。
ドッグトレーナーの1日の流れ | ||
時間 | 業務 | 業務の概要 |
8:00~ | 出勤 | 予約やスケジュールの確認、ミーティング、室内の清掃を行います。預かってトレーニングを行っている犬の体調管理やお世話をします。 |
9:00~ | 開店 | 予約のお客様への対応、トレーニングを行う犬のお出迎えをします。 |
10:00~ | 午前のトレーニング | それぞれの犬の特徴や、飼い主さんからの依頼内容に沿ったトレーニングを行います。 |
12:00~ | 休憩 | スタッフは交代でお昼休憩を取ります。 |
13:00~ | 午後のトレーニング | しつけの内容によっては、屋内だけでなく、屋外でのトレーニングを行うこともあります。 |
16:00~ | 報告書の作成 | 今日のトレーニング内容に関して、飼い主さんに渡す報告書を作成します。 |
17:00~ | 飼い主さんへの報告 | 飼い主さんが迎えに来たら、作成した報告書を渡し、トレーニング内容の報告を行います。必要であれば、飼い主さんに対して、犬の扱い方のアドバイスも行います。 |
18:00~ | 閉店 | 勤務日誌の作成や、スタッフとの情報共有、掃除・片付けを行い、退勤となります。 |
ドッグトレーナーの勤務場所や勤務形態は多岐にわたります。独立したフリーランスのドッグトレーナーになれば、自分自身でスケジュールを立てることもできます。
ドッグトレーナーになるには資格は必要?
ドッグトレーナーを目指す場合、特別な資格は必要ありません。ドッグトレーナーになろうと思ったその日から仕事をすることもできます。
しかし、実際のところドッグトレーナーは実績がものを言う世界です。資格を持っていれば、腕前の証明となり、信頼につながります。ドッグトレーナーとして働いていくならば、資格を取得しておくとよいでしょう。
ここからは、ドッグトレーナーを目指すなら取得しておきたい3つの資格を紹介します。
- ドッグトレーナーライセンス
- CPDT
- 愛玩動物飼養管理士
それぞれの資格を簡単に見ていきましょう。
1. ドッグトレーナーライセンス
ドッグトレーナーライセンスは、日本ドッグトレーナー協会(JDTA)が主催している資格です。愛犬との信頼関係の築き方や性格に合わせた接し方、飼い主さんへのしつけ方の提案ができるようになる知識やスキルが学べます。特に、子犬のころからのしつけに重点を置いており、C級・B級・A級の3段階でライセンスを認定しています。トレーナーを目指す場合は、B級やA級の取得が望ましいです。
2. CPDT
CPDTは、日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)が認定を行っているプロのドッグトレーナーを対象とした資格です。日本で唯一の世界基準に沿ったドッグトレーナー資格であり、犬の行動やトレーニング方法、飼い主さんへ適切な指導ができるようになるなど、高いスキルを保持する証となります。試験内容は指導スキルと学習理論が全体の80%以上を占めており、受験には、過去5年間で300時間以上のドッグトレーニング経験と、推薦状の提出が必要となります。
3. 愛玩動物飼養管理士
愛玩動物飼養管理士は「動物の愛護及び管理に関する法律」に基づき、ペットの愛護と飼育管理の普及啓発活動に必要な知識や技能の認定を目的とした資格です。ペットの習性や正しい飼い方を学べるため、しつけやトレーニングなどに活かせます。また、動物に関する法律も同時に学べるため、近隣住民とトラブルの原因になりそうな行動を予測してトレーニングに組み込むことも可能です。愛玩動物飼養管理士は、公益社団法人日本愛玩動物協会の通信教育を修め、所定の試験に合格することで認定を得られます。
参考: 公益社団法人日本愛玩動物協会
ドッグトレーナーになる方法
ドッグトレーナーになるには、犬のしつけや訓練を行うための専門的な知識と経験が不可欠です。どちらも独学での習得は難しいため、専門学校や通信講座を利用して学んでいくことになるでしょう。
専門学校に通う
短期間で、知識だけでなく技術まで身につけたいのならば、ドッグトレーナーについて学べる専門学校に通うのがおすすめです。
2年制の学校が多く、学費は卒業までに150~250万円ほどかかります。
ドッグトレーナーとして活躍する経験豊富な講師陣から直接手ほどきを受けることができるのが専門学校の強みです。
TCA東京ECO動物海洋専門学校の「ドッグトレーナー専攻」では、校内の実習以外にも、校外の犬のイベントや訓練競技会などへの参加をカリキュラムに取り入れています。
また、本校ではオーナー犬制度を設けており、近隣住民の人から約300頭以上の愛犬を預かっています。種類や大きさ、性格などが異なる犬を年間一人5頭以上担当することができるため、ワンちゃんに合わせたしつけやトレーニングを実践で身につけることが可能です。
トレーニング後は、迎えに来たオーナー様にトレーニング内容やその日の様子などを伝えることも行っているため、接客スキルやコミュニケーション力の習得にも役立ちます。
ほかにも、授業の一環として業界のプロと共にショーの企画やイベント運営などを行うことで、コミュニケーション力やプレゼンテーション力などを身につけられます。本校では実技や実習の割合が全体の70%と座学より多いため、より技術に磨きがかかり、就職後の即戦力として活躍しやすくなるでしょう。
全国7,500ヵ所以上あるインターンシップ先での研修や就職のサポートを受けられる本校で学べば、ドッグトレーナーとして卒業後すぐに活躍できる可能性が高まります。
通信講座を受講する
通信教育を使って、ドッグトレーナーの知識を身につけ資格取得を身につけるのも一つの方法です。
カリキュラムにより費用は異なりますが、安価なものならば10万円程度で受講できます。また、通信教育は自分のペースで学べるのが魅力。最短3か月で習得できるものなどもあり、短期間での資格取得を目指せます。
手軽で始めやすい一方で、実際に犬に触れて経験を積むことができないという点が専門学校との大きな違いです。 また、就職のサポートまではしてくれない場合がほとんどです。ドッグトレーナーになるために学習した知識をそのまま就職に結び付けたいのであれば、専門学校で学ぶことをおすすめします。
ドッグトレーナーの喜びや苦労、やりがいとは?
ドッグトレーナーとして働く中で喜びを感じられる瞬間は、やはり毎日の犬との触れ合いです。さまざまな犬と触れ合い、仲を深め、信頼関係を築くことは、何度経験しても喜ばしく、楽しいものです。犬の成長を身近で見ることができる感動も大きいでしょう。
しかし、楽しいことばかりではありません。気性の荒い犬や、なかなか懐かない犬など、トレーニングに苦戦することもあります。また、短期間で成果を求められる場合には、強いプレッシャーに襲われることもあるでしょう。
それゆえ、トレーニングの成果が出始め、それぞれの犬と飼い主さんの悩みを解決したときには、大きなやりがいを感じることができます。
しつけを通して、人と犬との生活を改善し、強い絆を育むきっかけを作ることが、ドッグトレーナーのやりがいと言えるでしょう。
ドッグトレーナーの就職先は?
ドッグトレーナーの就職先は実にさまざまです。家庭犬のトレーナーならば、犬のしつけ教室や、ペットショップ、ペットホテルなどが選択肢にあげられるでしょう。動物病院や、トリミングサロンなどに就職する人もいます。
他には、各種使役犬の訓練所や、犬のパフォーマンスを行っているサーカス・遊園地という道も考えられます。
また腕前さえあれば、ドッグトレーナーとして独立することもできます。
ドッグトレーナーの平均年収は?給料をあげる方法も解説
ドッグトレーナーの正社員としての平均初任給は月収13~20万円ほど。その後、経験に応じて給与も上がっていき、一人前になった頃の平均年収は300~380万円が相場です。
ただし収入は、地域や勤務先、ドッグトレーナーとしての経験や実績により大きく左右されます。
より高収入を目指すならば、大会で優勝するなどの実績や、複数の資格を取得するなど自身の腕を磨くことが重要です。
ある程度経験を積んだら、経験者を優遇している会社に転職してみるのもよいでしょう。ボーナスや手当が支給される職場であれば、年収400万円も目指せます。
また、独立してフリーランスのドッグトレーナーになるという方法もあります。ただし、独立した場合はもちろん固定給ではないため、収入は自分の努力と腕前にかかってきます。自分次第で大幅な収入アップとなる場合もあるでしょう。
ドッグトレーナーはどんな人が向いている?
ドッグトレーナーに向いている人の第一条件は、犬が好きということ。とはいえ犬が好きなら何とかなる仕事というこではありません。
犬のしつけには、飼い主さんとのやりとりが欠かせません。飼い主さんに犬の扱い方を教えるのも大切な仕事です。そのため、人とのコミュニケーション能力の高さも求められます。
また、犬と意思疎通をはかるためには、根気よく犬と向き合う忍耐力も必要。1日中元気に駆け回る犬に付き合うための体力も重要です。
ドッグトレーナーの将来性は?今後ますます必要とされる?
少子高齢化が加速する日本では、新たに犬を家族として迎えたいと願う人も増えてくるでしょう。それと同時にしつけがうまくいかず悩む飼い主さんも増えてくる可能性があります。
そのため、正しい知識とスキルを持ち合わせたドッグトレーナーの存在は今後ますます重要視されることになるでしょう。
また、地震や大雨被害が発生しやすい日本では、災害救助犬の出番も増えています。そのため、人々の助けとなる使役犬のさらなる育成が求められており、ドッグトレーナーの活躍の場は増えていくと考えられます。
そのほかにもドッグトレーナーの活躍の場は多岐にわたります。しつけ教室や、ペットショップ、ペットホテル、高齢者施設でのドッグセラピーなどさまざまな場での活躍が期待できます。
ある程度経験を積めば、ドッグトレーナーとしての独立も夢ではありません。このように活躍の場が多い仕事であるため、将来性は高いと言えるでしょう。
まとめ:ドッグトレーナーへの一歩を踏み出してみよう
ドッグトレーナーは、人と犬との懸け橋となれるとてもやりがいのある仕事です。「色んな犬と触れ合える」という意味でも、犬好きには天職と思えるかもしれません。
資格を必要としない職業ではありますが、一人前のドッグトレーナーを目指すのであれば、専門学校で学ぶのがおすすめです。
TCA東京ECO動物海洋専門学校のドッグトレーナー専攻では、年間一人5頭以上の犬を担当します。多くの犬をトレーニングできるため、技術を磨くことができます。また、授業は家庭犬・警察犬・補助犬などそれぞれの分野で活躍する先生が担当するので、自分の将来に合わせて技術を習得することができるのも魅力の一つです。
さらに、犬のトレーニングに関する授業だけでなく、多くのイベントを通して飼い主さんとのコミュニケーションについても学ぶことができます。
知識の習得だけでなく、実技もふんだんに取り入れたカリキュラムで、ドッグトレーナーへの第一歩を踏み出してみましょう!