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漁師になるには?必要な資格や仕事内容、平均年収や将来性を紹介

漁師になるには?必要な資格や仕事内容、平均年収や将来性を紹介

「漁師になりたい」

「漁師の仕事を詳しく知りたい」

漁師に興味があるけれど、漁師に必要な資格や詳しい仕事内容などが分からない人もいるでしょう。

本記事では、多くの漁師を輩出してきたTCA東京ECO動物海洋専門学校が、漁師のなり方や必要な資格、年収、将来性などを紹介します。

一読すれば、漁師に必要な資格が分かるだけでなく、最短で漁師になる方法も分かります。就職先を選ぶときの参考にもなるため、ぜひ最後まで読んでみてください。

漁師とは

漁師とは

漁師とは、海や河川、湖などで魚介類を獲ったり稚魚を養殖したりして販売し、生計を立てている人です。

漁師の仕事である漁業は、大きく沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業 の3種類に分けられます。

おこなっている漁業の種類は、各都道府県に隣接する海や河川、湖などにより異なります。

たとえば、広島県では瀬戸内海が漁場(漁をする場所)になるため、沿岸漁業がメインです。海に囲まれた北海道は、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業全ての漁業をおこなえます。

魚介類を獲る方法も、定置網漁、底曵き網漁、延縄漁業(はえなわ)など、漁業の種類に合わせて網の使い方を変えていきます。

漁業の種類に合わせて就職先を選んだり、季節によって獲る魚や働き方が変わったりするのが漁師です。

漁師の仕事内容や時間

漁師の仕事内容や時間

漁師は魚介類を獲ったり販売したりする仕事です。

水揚げした魚介類の選別や出荷、船の掃除、漁具の手入れなどもおこないます。

漁師の仕事は季節を問わず、いつでもできるわけではありません。魚介類や都道府県により禁漁期間や獲っていいサイズが決まっている場合があるため、時季に合わせて漁法を変更します。

たとえば、岩手県では漁業規則により3月1日〜10月31日までは、アワビを獲ってはいけない期間になっています。また、体長9センチ以下のものも獲ってはいけません。

そのため、アワビの禁止期間は深夜にイカ釣りをしたり、ほかの魚介類を獲ったりして生計を立てていきます。

漁師は獲る魚介類に合わせて早朝や深夜に漁場で漁をし、市場が開くまでに港に戻って魚の選別を終わらせます。季節や天候など、自然や時間と深く関わりながら仕事をするのが漁師です。

参考:岩手県_漁業取締対象

漁師が持っていると役立つ資格や権利

漁師が持っていると役立つ資格や権利

漁師は、会社で雇用されて働く場合(雇用者)と個人事業主で働く場合により、持っていると役立つ資格や権利が以下のように異なります。

持っていると役立つ資格や権利
雇用者 個人事業主
  • フォークリフト運転技能講習
  • 普通自動車免許
  • 小型船舶操縦士免許
  • 海上特殊無線技士免許
  • 潜水士免許
  • 漁業権(資格ではないが、商品を販売するのに必要)

一つずつ説明していきます。

フォークリフト運転技能講習(雇用)

フォークリフト運転技能講習は、最大荷重1トン以上のフォークリフト運転資格を取得するための講習です。

水揚げした魚介類や漁具の運搬に必要です。

主催は各漁業協同組合や漁業大学など、各都道府県の労働局に登録している教習機関がおこなっています。

資格取得には学科(1日)と実技(3~4日ほど)を規定時間受講し、最終日に実技試験に合格しなければいけません。※受講人数により日数が異なる。

比較的取得しやすい資格で、遅刻や欠席などをせずに最終日までまじめに講習を受ければ、多くの人は合格できます。

求人募集のなかには、フォークリフト運転技能講習修了証を持っている人を募集している企業もあるため、取得していると漁師の仕事に役立ちます。

参考:愛南漁業協同組合

普通自動車免許(雇用)

普通自動車免許は、魚介類を市場まで運んだり、港まで漁具を載せたりする場合に利用します。

また、深夜や早朝など、公共交通手段が利用できない場合にも必要です。

小型船舶操縦士免許(個人事業主)

小型船舶操縦士免許は2級と1級があり、海や河川などで小型船舶を操縦するのに必要な資格です。

2級は海岸から9kmまで操縦できます。1級の場合は、小型船舶で操縦できる沿海区域内(日本本土および特定の島の海岸から約37km)の範囲内が操縦可能です。

有効期間は交付日から5年間で、更新するには身体検査や講習が必要です。

参考:国土交通省

海上特殊無線技士免許(個人事業主)

海上特殊無線技士免許は、船で沖へ出ている際、ほかの船と無線で情報交換したり、遭難時に遭難信号を送ったりできる国家資格です。

沖に出ると携帯電話は使えなくなるため、無線を使用します。

取得方法は以下の2種類です。

  • 国家資格を受験して合格する
  • 総務大臣の認定を受けた団体が実施する養成講座を修了する

資格は1~3級まであり、日本国内で遭難信号を送れる2級の海上特殊無線技士免許を取得しておくと、遭難したときに助けを呼ぶことが可能です。

参考:総務省
参考:Y’S GEAR

潜水士免許(個人事業主)

潜水士免許は、船底の確認やメンテナンス、海底調査などをする際に必要な国家資格です。

特殊な潜水服を着て、船とつないだパイプから鉄製のヘルメットをとおして酸素を送りながら、アワビやナマコなどを漁獲する潜水漁業にも利用しています。

ただし、潜水士免許は筆記試験のみです。そのため、潜れるようになるための実技練習は、各自でおこなう必要があります。

参考:公益社団法人 安全衛生技術試験協会

漁業権(個人事業主。商品売買に必要)

漁業権は資格ではありません。しかし、個人で漁をする際に必要になるため、個人事業主は必須の権利です。

漁業権は共同漁業権、区画漁業権、定置漁業権の3種類があり「一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利」です。

協同組合に加入している人だけが、その土地の魚介類や海藻類などを獲ることを許可される権利のため、個人事業主として漁業をする場合は必ず取得しましょう。

もしも権利がない人が該当場所で漁をすると、懲役や罰金などの罰則が与えられます。

たとえば、有料開放されている場所以外で潮干狩りをすると、罰則対象になります。

水産資源を確保し支援することで、漁業を営む人たちの生計を守るのが漁業権です。

漁業権を得るには、各漁業協同組合への加入が必要です。

年会費や数十万円の出資金が必要だったり、小型船舶や海上特殊無線技士免許が必須だったりと、漁業協同組合によって加入条件が異なります。

参考:水産庁

漁師になる方法

漁師になる方法

漁師になるには、以下の2つの方法があります。

  • 専門学校に通う
  • 大学に通う

順番に説明していきます。

専門学校に通う

漁師になるには、専門学校に通うのがおすすめです。

漁師に必要な、川や海の水生生物の生態や扱い方、飼育管理などが学べます。

TCA東京ECO動物海洋専門学校の水族館・アクアリスト専攻では、基礎知識だけでなく、漁師が持っていると役立つ潜水士や小型船舶操縦士の資格取得が目指せます。

また、スクーバダイビング実習もあるため、在学中にダイバー資格を取ることも可能です。

ほかにも、海で獲られた魚介類を管理するのに役立つ水槽管理も習得できます。

校内には、淡水漁や海水魚などの水生生物を飼育している水槽が100本以上あります。

授業で習ったことを実践する機会のひとつとして、学生たちが当番制で飼育管理しているのが本校の特徴です。

大学に通う

大学に通う場合は、水産科、漁業科、環境科、生物学、生物生産学などの学科を選択するのがおすすめです。

大学のなかには、座学だけでなく、技術を身につける乗船実習がある大学もあります。

水産学関連の研究ができたり、漁業法や魚の流通など販売に関する知識を習得できたりするため、就職の幅が広がります。

漁師の枠を超えた幅広い仕事に興味がある場合は、大学を選ぶとよいでしょう。

漁師のやりがい

漁師のやりがい

漁師になる方法以外に、やりがいが気になる人もいるでしょう。漁師のやりがいは、以下のとおりです。

  • 大漁が狙える
  • 努力次第で収入を増やせる
  • 国民の食生活を支え喜ばれる

漁師のやりがいのひとつは、やはり大漁が狙えることです。潮の流れや魚介類の行動などを予測し、漁具を仕掛けて大漁だったときのうれしさは人一倍大きいでしょう。

また、大漁を狙えるようになると、高収入にもつながります。ほかにも、数ヵ月間船の上で過ごしながら漁をする遠洋漁業を選べば、より多くの収入が見込めます。

私たちの体に必要なDHAやカルシウム、タンパク質などの栄養素を多く含んでいる魚を提供し、消費者に「おいしい!」と喜んでもらえるのもやりがいのひとつです。

漁師はきつい?仕事で大変なことは?

漁師はきつい?仕事で大変なことは?

漁師の仕事できついことや大変なことを、以下に紹介します。

  • 仕事開始時間が早い
  • 夏や冬の野外作業がつらい

漁師の仕事は、漁の種類や獲る魚介類によっても異なります。

たとえば、深夜2時頃から漁をしたり、朝方の4時頃から沖に出たりするため、一般会社員より早い時間から仕事を始めています。そのため、就寝時間も早いです。

また、漁師の仕事は外でおこなうことが多いため、夏や冬の仕事は辛いものです。特に、冬の海は風も冷たいため、水を触る漁師はよりいっそう大変だと感じるでしょう。

漁師に向いている人

漁師に向いている人

漁師に向いている人は以下のとおりです。

  • 体力がある人
  • 勉強するのが好きな人
  • 協調性がある人

漁師は魚介類を海から船に水揚げしたり、漁具を運んだりする力仕事が多いです。また、暑さや寒さで体力が消耗しやすくなるため、人一倍体力がある人に向いています。

ほかにも、魚の動きを予測することも重要です。たとえば、天気が悪いと活発になるプランクトンを食べに小さな魚が水面近くに上がってきます。すると「小さな魚を餌にする大きな魚も寄ってくる」という連鎖が起きます。

魚の動きを知るために、天気や潮の流れ、魚の習性など、多くのことを勉強するのが好きな人は漁師に向いているといえるでしょう。

協調性も大切な要素の一つです。漁師は、狭い船の上で何時間も仲間と行動をともにします。

仲間と意思疎通が取れないと、次にどのような行動をしてほしいのかが分からず、網にかかった魚を逃してしまうこともあります。また、長い航海をする場合は、お互いを思いやることも大切です。

そのため、協調性がある人も漁師に向いています。

とはいえ、体力は後天的につけられます。好きなことであれば知識も自然に頭に入るため、勉強も苦になりにくいでしょう。協調性も意識すれば、発揮できるようになります。

今の時点で向いている人に該当しなくても、就職するまでに一つずつ身につけていければ大丈夫です。

漁師の就職先

漁師の就職先

漁師の就職先は、大きく分けて以下の2つです。

  • 会社に就職する
  • 個人事業主になる

順番に説明していきます。

会社に就職する

漁師になるには、漁協や漁業会社などに就職する方法があります。

会社に就職して雇用される場合は、固定給のため魚介類が多く獲れたり、仕事量が増えたりしても、給料は大きく変動しません。

大きく稼ぐことは難しいですが、安定した収入を得られます。

また、会社に就職すれば、上司や先輩から知識や技術を吸収できるため、自分の力の底上げにもなります。

そのため、漁師になったばかりの頃は会社に就職するのがおすすめです。

個人事業主になる

個人事業主になって、仕事をする方法もあります。

ただし、その場合は漁に出る船や漁具などが必要です。会社に就職する場合は取得していなくても問題なかった資格や権利の取得もしなければいけません。

天候や魚の獲られ具合により収入は変動しますが、知識や技術を磨けば会社に就職するより収入を増やすことが可能です。

独り立ちできるくらいの知識や技術を身につけたら、独立して個人事業主になるのもよいでしょう。

ただし、個人事業主になる場合は、ほかの漁師と交流を深め、お互いに情報交換して助け合うことを忘れないようにしましょう。

他の漁師と助け合えば、収益を増やしたり自分の身を守ったりすることにもつながります。

漁師の平均年収を紹介

漁師の平均年収を紹介

漁師の平均年収は漁業の種類によって年収が異なります。

農林水産省が令和3年に発表した漁業経営統計調査結果の漁師の平均年収は、以下のとおりです。

漁師の平均年収
会社に就職(雇用) 個人事業主
沿岸漁業
(10トン以下の小型船)
2,765,428円 6,397,000円
沖合漁業
(20~150トンの船)
2,700,000円 3,579,000円
遠洋漁業
(200~500トンの船)
6,563,533円

参考:農林水産省 令和3年漁業経営統計調査結果

数ヵ月〜1年かけて船の上で漁を続ける遠洋漁業は、会社に就職して働く沿岸漁業や沖合漁業に比べて段違いに収入が多いです。

個人事業主の場合は設備や規定の乗組員などが必要になるため、遠洋漁業はおこなえません。代わりに、沿岸漁業で多くの収益を得ることができます。

漁師になる場合は、漁業の種類や収入を考え、会社に就職して経験を積んだあとに個人事業主になるとよいでしょう。

漁師の将来性は?

漁師の将来性は?

参考:水産庁 令和2年度以降の我が国水産の動向

漁師の将来性はあると予想されます。

なぜなら、国民の食の魚離れを防ぐため、国や各都道府県でさまざまな取り組みがおこなわれているからです。

私たち日本人の魚消費量は、年々減少しています。

理由は「魚よりも肉類を家族が求めるから」が、45.9%を占めているからです。ほかにも、「価格が高い」「調理が面倒」といった理由も上位を占めています。

しかし、健康に配慮して魚介類を購入する人が多いのも事実です。

魚は、私たちの健康を支えるのに必要な9種類の必須アミノ酸をバランスよく含んでいるタンパク質のため、進んで食べたい食品のひとつです。

水産庁では、2022年から毎月3~7日は、さかなを食べる日として「さかなの日」を制定しました。

水産資源の枯渇を防ぐために、国では定められた漁獲量以上を獲らないようTAC制度を設けています。

また、横浜市では子どもたちに漁食の大切さや漁業の現状を学んでもらうため、普段は市場に出回らない魚を利用した給食の献立づくりを平成30年から実施しています。

漁食普及と水産物の消費拡大の後押しをするために、出前授業をおこなう自治体や企業もあるほどです。

国では、漁師の収入源に関係する漁食だけでなく、漁師の人員確保にも力を注いでいます。

沖合漁業や遠洋漁業で利用する20トン以上の漁船は、航海するのに海技士免許を取得した乗組員の乗船が必要です。

海技士不足で仕事ができない事態を解消するため、水産庁では水産高校卒業生を対象とした海技士養成事業をおこない、人員不足の解消を図っています。

私たちの食生活や健康に密接な関係がある漁師の仕事は、各種で施策がおこなわれているため、なくてはならない仕事だと分かるでしょう。

参考:横浜市記者発表資料 日本最大規模の小学校給食で未利用漁を活用

まとめ:漁師になって笑顔と健康を届けよう

まとめ:漁師になって笑顔と健康を届けよう

漁師は、漁業の種類により就職先や働き方、収入が変わります。そのため、自分に合った種類の漁業を選ぶことが大切です。

水生生物の知識以外にも、天気や潮の流れ、自然界の摂理など、漁師には多くの知識が必要です。

「漁師に必要な専門知識や技術を習得したい」と思った人は、専門学校で学ぶのが適しています。

TCA東京ECO動物海洋専門学校の「水族館・アクアリスト専攻」では、水生生物に詳しい仕事のプロの講師陣から基礎知識を学べます。校内外の実習や企業プロジェクトで、学びを活かして現場力を鍛えることも可能です。

また、Wメジャーカリキュラムを利用すれば、入学時に選んだ専攻以外の科目を追加料金不要で学ぶことも可能なため、スキルアップできたり就職の幅が広がったりします。

全国7,500箇所以上あるインターンシップ先で、気になる会社で現場体験することもできるため、就職活動にも役立ちます。

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